「よど号犯による拉致事件を考える 東京連続集会73」全記録
◆石岡さんはマスコミ不信になったと思う
松木信宏 それで首をかしげるような中味だったんですが、行方不明になって年数がかなり経っていましたので、「とりあえず生きてくれたんだなあ、よかったなあ」と思ったのが一番の気持でした。
その時に色々と経緯があって、外務省に嘆願書を出そうということで、三家族で出すことになって上京するという話になりました。「私も行きます」と言ったら、(有本さんの)お父さん、お母さん、石岡さんたちから、「君には将来があるから、こういう所に行ってさらされたりしたら」と、私を思って言ってくださったことが今でも忘れられません。
石岡さんのご家族の方も、自分がこういう状況であるにも関わらず、他の家族をおもんばかるという優しい気持をもっておられます。今家族会に入っておられませんが、こういう話があったということは今でも連絡しています。
考えが全然違うから参加しないとか、そういうことではありません。私が考える一番の原因は、勇気を持って外務省に嘆願書を出そうという時に、出鼻をくじかれた。人間は、一世一代の勇気を出すというのはそうそうないと思います。石岡さんにとって人生最大の勇気だったと思います。
その所で、あまりこまかいことは言いたくないですが、それを止めた方々もいらっしゃいます。その結果、名前も公表しないということで、全然大きな報道にもならなかった。そしていつの間にか年数が経っていった。そういう現実があります。だから石岡さんはマスコミ不信を未だにお持ちなのかなと思います。