「よど号犯による拉致事件を考える 東京連続集会73」全記録
◆松木さんと石岡さんと一緒にいて拉致されなかった女性も
有本嘉代子 2002年以降だと思いますが、松木信宏さんと一緒にスペインに行ったんです。2002年に北朝鮮が認めましたから。それから大勢の方が私たちに接触してこられました。お一人の方から電話がかかってきまして、「実は私、スペインで松木さんと石岡さんと一緒にいました」ということで、「これはどこに持っていったらいいんでしょう」とおっしゃるので、朝日放送の石高さんに連絡を入れましたら、石高さんがすぐに来られて、「一緒にスペインに行きましょう」と、「嫌だ」というその女の方も無理に誘って、一緒にスペインに行ったんです。
それまでに向こうでの段取りをちゃんとしてくださっていましたので、向こうのアジトと言えばいいのでしょうか、スペインでも薄暗い細いところにアパートがいっぱい並んでいまして、その一軒が写真に出ている黒田佐喜子さん、森順子さんがずっと住んでいたところらしいです。
そこに毎晩、松木さんと石岡さんと、それからその女の人と三人で食事を呼ばれていたそうです。「あまり気の毒だから私たちもたまには物を買っていって食べたんですよ」と。
「私も(共産圏の旅行に)誘われたんですが、帰りの切符をもう買っていたので、もったいないから帰ります」と言って帰ったそうです。だから松木さんと石岡さんはあの二人に誘われて北に入ったということは分かっています。
だから一人では動いてないんです。必ず二人以上はいた筈です。八尾さんも私たちにはきちんとそう言いました。「本当に申し訳ないことをした」と土下座して、涙でくしゃくしゃになって言っていました。
私は、「そんなことしなくていいから、また来なさい」と言って、起こしたんですが、その時に私の対応がちょっと甘かったと、櫻井よしこさんにもお電話いただきましたし、小泉さんも一番最初に会った時は、「非常に寛大でしたね」とおっしゃったんです。
それでもそれまでに八尾さんのことを色々聞いていました。朝日放送の下請けの人がずっと接触されていて、その方がおっしゃるには、「恵子をだまして連れていった人は、そのために親がどんな辛い思いをするか全然分からなかったでしょうね」と私がテレビで言った時に、「親御さんは1日、2日、しゅんとしてしまって、何も言わなかった」と。
「今は本当に悪いことをしたという思いを持っています」と聞いていました。しかし、入ってくるなり、そこで土下座して、涙で顔がくしゃくしゃになるくらいで、「申し訳なかった」とおっしゃるので、私はきついことは言えなかったです。
その人も子どもたちを向こうに取られて、その子どもたちが帰ってきた時、八尾さんについてひどいことを言いました。だから、そういう思いで私たちの子どもを連れていったという思いがありますから、ひどく言うつもりはなかったです。よど号ハイジャック犯の中で、八尾さんだけが本当のことを言ってくださったんです。他の人は何も言っていないです。
だから、帰ってきたら政府はきっちりと対応してもらわなければならないという思いは持っています。
松木信宏 よど号犯メンバーは今、(拉致で逮捕状取得は違法と)東京都を訴えているわけです。どうでもいいことですが、損害賠償よりも、裁判になると警察等がどういう情報を持っているか、そういうものを開示しなくてはならないのに意味があって、それを魂胆にして訴えているんだと思います。
私も未だに話さないことがあります。私の兄のことをむやみやたらに話すわけにはいかないんです。私の兄は今北朝鮮にいて戻れないんですが、よど号犯の支援者は日本にいるわけです。いつ、どこにいるか分からないわけです。
マスコミの方でも、よど号犯にシンパシーを感じている人もいるかもしれません。だからうかつなことは私は言いません。
裁判の結果がどうなるか分かりませんが、どうぞお好きにやってくださいという思いです(拍手)。