「アメリカから見た拉致問題?東京連続集会74」全記録
◆米国人の拉致も
3番目には、チャック・ダウンズという人がいます。国防総省や国務省で北朝鮮関連の専門官として働いていた人です。どうもインテリジェンス関係の分野にいたという印象もあります。ダウンズ氏には北朝鮮のような無法国家がそもそも存在し、非道なことをしているのは許されるはずがないんだという信念があって、ずっとこの問題にかかわり、私たち日本人に協力してくれているという感じです。
いまこの時点で、アメリカ人青年のデーヴィド・スネドンという人物がどうも北朝鮮に連れ去られたらしい状況が存在します。平壌で北朝鮮の外交官に英語を教えているらしいという情報が入っています。
このスネドンというのは「産経新聞」でも書きましたが、中国の雲南省のシャングリラという峡谷で、突然消息を絶ってしまった。中国は非常に統制のとれた、ある意味で警察国家ですから、外国人が突然いなくなり、その後の消息がゼロということはありえません。死体がみつかるとか、事故にあったらその報告があるとか。
チャック・ダウンズさんはこのスネドン事件を追いかけています。例えば北朝鮮側の外交官と接触する米朝協議のトラックB、表がAであれば裏がBというルートがあります。この接触にダウンズ氏も出ることがあり、その場で最近、北朝鮮の外交官の英語の話し方が変わったことなどをももらしています。ちょうどこのデーヴィド・スネドン氏が行方を絶って、しばらくした時期から北朝鮮外交官の話す英語の特徴が大きく変わった、というのです。
それまでは、北朝鮮の外交官に英語を教えていたのは日本でもよく知られているジェンキンズさんでした。こういうことを述べると申し訳ないんですが、彼は10代かそこらでGI(米兵)になって脱走した人です。だからいわゆる高等教育は受けていない。
一方、デーヴィド・スネドンという人は大学院まで行ったということで、しゃべる英語が違う。その影響が、北朝鮮の外交官がしゃべる英語に出てきたというようなことまで研究しているのがダウンズさんなのです。日本にも時々きています。
もう一人、デニス・ハルピンという人がいます。この人は韓国の専門家で、国務省の外交官として、韓国におそらく20年くらい勤務していた。私が最初に彼を議会でみた時は、びっくりしたんですが、米韓関係を論じる公聴会で、「米韓関係は大切だから」とだれかが述べたら、彼が立って、「じゃあ、いまから私が韓国の国歌を歌うから皆さん聞いてくれ」といって、実際に歌い始めたのです。ずいぶん素っ頓狂な人だなと思っていたら、これが割としっかりした人で、下院外交委員会をぜんぶ握っている首席補佐官だったのです。
ふだんは韓国に心が傾いているせいか、慰安婦問題とか靖国となると日本の味方はぜんぜんしてくれません。ところが拉致問題になると、北朝鮮が相手だから、「日本の立場をもっともっと主張しなければいけないよ」と、いろいろな形で押してくれます。
もう一人だけあげるならば、先ほど申し上げたデービッド・アッシャー氏です。まだ40代の若手で、共和党系ですから今政権の外にいますが、この人は日本語が非常に上手で、安全保障に詳しく金融にも詳しい。
アッシャー氏も北朝鮮の無法、非道を正面から糾弾し、その一環として日本の拉致問題解決にも熱心に協力してくれます。彼は最近でも、「日本の経済制裁はもっとできることがある、もっと厳しくするべきだ」といって、具体的な方法まで提案しています。