「アメリカから見た拉致問題?東京連続集会74」全記録
◆日本がしっかり意見を伝えることでアメリカの政策に影響を与えられる
そういう意味でアメリカを動かすというのは大変重要ですし、それとの関連で、アメリカは一枚岩でないというところが大変大事で、国務省は常に宥和的な方向に行きがちですが、一方議会では北朝鮮に対して極めてハードラインの人もいます。だいたい共和党の方がハードラインです。
共和党の中でも、ブッシュ政権の時、ディック・チェイニー副大統領とコンドリーサ・ライス国務長官、これは北朝鮮へのテロ支援国指定を解除するかどうかで、全く意見が対立した。金融制裁の解除もチェイニーは完全に反対、それに対しライスは解除したら核問題も進むんじゃないか、と。
ライスは完全にだまされて、ブッシュも最終的にライスの肩を持った。解除にいった一つの理由は、ラムズフェルド(国防長官)とかボルトン(国務次官、国連大使)、アーミテージもそうですが、ハードラインの人たちがどんどん政権から出てしまって宥和派が増え、そうなると国務省の主導権を握りますから結局解除にいったのですが、その時のことを、チェイニーがはっきり回顧録に書いています。
最後の最後の段階でもライスに対し、「テロ支援国指定を解除したら日本との関係がおかしくなるんじゃないか。日本は拉致問題を重視しているのに、解除して大丈夫なのか」と問いただしたところ、ライスから、「実は日本政府は、『色んな人を説得しなければいけないので、発表するのを24時間だけ待ってほしい』と言っている。従って24時間だけ猶予を与えれば日本は大丈夫なんだ」と言ったということです。
問題はその時福田政権ですが、その後の麻生さんの時も、全くそういうアメリカのハードライナーに対するアプローチや日本側の立場を伝える意見交換をしていない。安倍さんの時は、向こうの政権の中枢部にしっかりと意見を伝えていたわけですが、福田さんは、「テロ支援国指定解除はアメリカが決めることで日本があれこれ言うべきじゃない」という発言をしていました。
日本がしっかり意見を伝えることによって、チェイニー、ライスのやり取りを見ても分かるように、アメリカの政策に影響を与えることもできるわけです。現在は安倍さんの政権になっているので、その辺は安心できるんですが、今度はアメリカ側がジョン・ケリー(国務長官)とかバイデン(副大統領)になっています。