「アメリカから見た拉致問題?東京連続集会74」全記録
◆日本には戦略的発想が全然なかった
西岡 テロ支援国指定解除問題でもう一つ。実は2003年にアーミテージさんが、「(拉致は指定の)理由だ」と行った後帰ってきて、日本政府に「拉致はテロだ」と言ってもらおうと思ったんですね。
アメリカが言っているのに日本が言わなければ理由にならないわけです。ところが当時の川口外相に事前に質問状を出して、「拉致はテロだ」と言ってくれと申し入れたんですが、「日本にはテロに関する法律上の定義がありません。従って言えません」と言ったんですね。
がっかりしましたけれど、法律上の定義があって、こういう理由でこれが入らないというならともかく、定義がないんだったら、政治家として言えばいいんですよ。アーミテージさんも言ってるんだから。
アメリカを動かそうという時に、テロ国家指定というものが鍵になるんだという戦略的発想が全然なかったんです。それが福田政権までずっと続くことだったわけです。
ですから、テロ支援国指定解除の時、アメリカが裏切ったというかなり大きな論調がありましたが、また私はコメントとして、「確かにそういうことがある」と言いましたが、テロ支援国指定が解除されたことがあんなに大きく報道されるのならば、テロ支援国指定が理由になった時、なぜ報道が小さかったのか。
最初から拉致は理由じゃなかったんです。大韓機爆破事件が理由だったんです。我々が働きかけて、明文化されたんです。ニクシュさんの働きかけもあったし、アメリカの中でもあったんです。そういうことについて、働きかけをすればアメリカは変わるんだ、働きかけをしなければ動かないんだということの理解が本当に足りなかったんだなあと実感した記憶があります。
いままで、指定の理由になっていたのに解除されてしまった。我々は運動としてそういうことをやってきたんですが、それについて何かありましたら。