「韓国から見た拉致問題?東京連続集会75」全記録
◆人道を考えるならまず被害者が帰れるように
西岡 それは、何回か家族会と一緒にソウルへ行った時、記者会見場に韓国の記者の人がいて、そういう質問を受けたこともあります。その時私がいつも答えるのは、「事実関係について意見の違いがある。それはここでは言わない。ただ、言いたいのは、植民地支配は終っている。終ったことについての清算の問題と、現在進行形のテロの問題は違う。同じレベルになるのは、めぐみさんや八重子さん、るみ子さん、恵子さんが帰ってきた後の補償の問題になった時に同じ問題になる」と。
「慰安婦問題や強制連行問題に関心があるならば、その人たちは今日本にいなくて北朝鮮や韓国に帰れているんだから、まず帰れるように一緒にしましょうよ。人道を考えるなら帰れるようにしましょうよ。そこでは一致できるんじゃないですか」と言うんです。
黒田 セミナー等で同じような日本批判があって、「黒田さんあなたどう思うか」となるでしょう。ぼくが時々言う話ですが、みなさんに正しいかどうかお聞きしたいんですが、「日本統治時代の戦争状況下の慰安婦問題とは違う」と。
今慰安婦問題は「性奴隷」と言っています。そう非難されています。アメリカには昔、アフリカから奴隷商人によって奴隷が連れてこられた歴史がある。それでアフリカのある国がアメリカ人は拉致した、けしからん、被害者を返せと言った時に、いやお前たちは昔俺たちの所にいっぱい奴隷を連れてきたじゃないか、そんなに非難する資格はない、ともしアフリカの人がいったら、あなたを含めて国際社会は、そうだと言うのか、と言ったんです。思い立ったのはその反論しかなかった。
慰安婦問題にからめて拉致救出運動の足を引っ張るというのは、韓国社会に厳然としてあって、特に大手の「中央日報」の記事に対しては、西岡さんを初め、反論してほしい。あるいは反論を書かせろと要求してほしい。そういう難しいことが韓国ではあります。
フロアー 今の朴政権は拉致問題についてどう考えていますか。
黒田 韓国はもともと、自分たちも拉致問題がある。漁船員等含めて約500人被害者が存在する。それを返せと北に主張しています。朴槿惠大統領も基本的には保守の人ですから、同じ主張です。
北はそれに対して「拉致は存在しない」と言っています。「みんな進んで来たんだ」とか。漁船なら、「遭難を救助してやった後、いたいというからいさせているんだ」と。
北朝鮮は拉致問題については、南北離散家族再会の問題だと言って、時には拉致の名簿に韓国側が載せている人を南北離散家族再会の場面に連れてくるんです。そして韓国側に会わせるという政治的演出もします。
結局南北の場合は、同じ民族でしょう。日本の拉致問題とは全く違うと思います。あまり参考にならないと思います。
今日は妙なことをお話したかも分かりませんが、ぼくが考えた率直な話をさせていただきました(拍手)。
西岡 ありがとうございました。補足しますが、韓国は反日でこりかたまって大変だという認識が強いと思いますが、韓国のテレビ討論とかセミナーに(黒田さんは)よく出ていらっしゃいます。
韓国人は話を聞かないということじゃないんです。黒田さんは話がうまいということもあるんですが、韓国語で、竹島問題、慰安婦問題、歴史問題について、「産経新聞」の主張を、韓国のテレビで韓国語でずっと話をされてきています。
そういう中で色んな質問が出る、非難が出る。そういうことについてどう思うんですかというのが今日の問題提起の中にあったのではないかと思っています。
朴槿惠大統領の拉致に関する考え方ですが、朴槿惠さんは家族会の代表に二度会ってくれています。大統領になる前です。2003年に訪韓した時と、金英男さんのお母さんに会いにいった時です。
その時は野党でした。盧武鉉政権の時、韓国政府は会ってくれませんでしたが、朴槿惠さんは忙しいのに時間をとってくれました。手を握って激励して、これは人道問題で許せないというようなことを言ってくれていたことは事実です。
以上