特別セミナー「拉致問題の全体像と解決策」全記録
◆拉致被害者活用の3形態
続いて「拉致被害者活用の3形態」です。これは今回初めて発表するものです。金東植さんも話されましたが、私は、日本人拉致という時に、金正日が1976年に(工作員の)「現地化教育をしろ」、「現地化教育のための教官を拉致せよ」というのが非常に印象深くて、日本人拉致は教官を拉致するためとずっと思っていました。
拉致問題の解決が長引く中で、もう一度拉致をゼロから考えてみようということで、現地に行ったり、過去の文献資料を調べたりしました。もちろん脱北者の方の話も聞いたりしました。
その結果、日本人を教官にするための拉致は非常に合理的だと思ったのですが、日本人を拉致し、洗脳して工作員にするということは、日本人なら普通そうは発想しません。
洗脳するためには朝鮮語を覚えさせる必要があります。しかも忠誠心を注入して初めて工作員として使えるわけです。ですからそんなことはないだろうと思っていました。
ところが実際には、北朝鮮は、韓国人は言葉の問題がありませんから当然ですが、日本人に対して拉致の目的がもともと工作員にするという拉致が現実的にあったことが明確になりました。
北から帰られた方々の証言を見ると、配布資料の表(北朝鮮による拉致被害者の分類)のように浜本富貴恵さんと田口八重子さんの名前をここに入れました。名前をどこに入れるか大変悩みました。この二人をここに入れたのは、拉致された後、二人は、「金正日政治軍事大学に入学してみないか」と指導員から声をかけられたそうです。北朝鮮としては、工作員として使おうとしていたということです。
他の女性の方、各国で拉致された方も、女性を工作員にしようとした。しかし、一人では色々な問題があるからカップルにした。男の方はいわばふろくの拉致ではなかったかと考えています。まだはっきりとは分かりません。
本気で北朝鮮というのはそういうことを考えたんだろうかと思いますが、これは金東植さんも証言されましたし、他の方もおっしゃっています。あるいは拉致被害者の方もそう言っていますので、これは間違いないです。
日本人が工作員になるのは大変です。簡単には工作員なんかにはなれない。となれば、日本人化教育の教官をしろということになったわけです。その意味では、横田めぐみさんは教官のところに入れていますが、めぐみさんも北朝鮮は、拉致の時年令は分かりませんから、工作員にしようとしたかも分かりません。
この表は、可能な限りデータがあるもので並べてみました。
3形態の内、1番目は、韓国人はもちろん、日本人や他の外国人も工作員にしようとして拉致をしたものです。2番目は、教官にするための拉致。拉致が1980年代に、「産経新聞」のスクープによって、カップルが突然消えた事例がある時に、警察関係者は、教官にするなんていう発想がなかったんですね。
3番目は、これも私には考えられない発想です。混血児を作らせ、外見は例えばドイツ人の子に洗脳教育をして工作員にしようと本気で考えていたんです。その事例は現実にあります。あることで言えないんですが、これも間違いない事実です。