特別セミナー「拉致問題の全体像と解決策」全記録
◆拉致は1970年代後半からではない
特定失踪者のことを調べていて、どう考えてもおかしいケースというのが、山ほどある。曽我さんのケースだって拉致だったわけですから、どれほどか分かりません。我々が現場に足を運んで見ている感覚では、(拉致は)1970年代後半からということはないです。
60年代、50年代でも日本に対する拉致(があった)。やり方は様々だと思います。例えば元朝鮮に住んでいた引揚者の人を何らかの形でだまして連れていったこともあったんじゃないかと思います。ともかく様々な形で日本から人を連れていった。拉致というか人さらいをすることが北朝鮮にとってはやることが当り前で、やらないことが不自然だったのではないか。
工作機関もお役所ですから、去年何人連れてきたけど、今年は何人しかいないということで批判をされる。しかも一つの機関だけでやるわけではありませんので、おそらくいくつもの機関が競争してやっていたんでしょう。そうなるとやらないことの方が例外ということで、やっていたんではないだろうか。「誰でもよかった」ということがよく話にでますが、そういうことが時にはあったのではないかと思います。
70年代後半に集中しているとすれば、その時は先ほど金東植さんも言われましたが、確か安明進も同じことを言っていたと思いますが、「次から次へ連れてきてしまって結局適性がない人がいた。だからそれから先は選ぶことにした」と。そういう(集中拉致の)時期があったことは間違いないと思いますが、しかしやることについてはずっと続けていた。
我々は1976年の金正日の拉致指令、先ほど金東植さんも触れましたが、これにあまりにも重点を置きすぎたのではないかという気がしています。そうではなく、もっと国家全体としてやってきたのではないかということです。