特別セミナー「拉致問題の全体像と解決策」全記録
◆拉致に国内の協力者がどのくらい必要か
西岡 ありがとうございました。司会者として整理させていただいて、せっかくですので、金東植さんの話を聞きたいと思います。
今荒木さんが、惠谷さんが発表した報告と考えが違う部分があると率直に話されました。特に国内の協力者の問題が一つ争点としてあると思います。もちろん惠谷さんの報告でも、国内の協力者の存在を否定しているわけではありませんが、「拉致の3類型」のところで、「条件拉致」の部分は、工作船が来て、小船が来て、ゴムボートで3人の戦闘員と工作員が来て、ゴムボートを待たせておいて、条件に合う人を海岸から連れていくという仮説です。
そのことを我々が考えることになった一つのきっかけは、曽我ひとみさんの証言です。曽我さんは東京の集会にも来てくださって、何回も公開の席で、自分がどう拉致されたかを話しています。お母さんと二人で歩いていたところ、3人の男に後ろから襲われて、すぐ近くで袋に入れられてかつがれ、川と思われるところに連れていかれ、多分木造船と思われる船に載せられた。それ以上、お母さんのことは分からない、と。
曽我さんは1回しか乗り換えていないと言っているんですが、工作船に乗っていった、と。
北朝鮮はそうではなくて、請負組織があった、と。国内の組織があって、お母さんはその組織から貰わなかったから知らない、と言っているんですが、それに対して曽我さんは、そうではない、と。3人にその場で襲われて、そのまま船に連れていかれた、と。そこに女性の工作員がもう一人いたという話をしています。
曽我さんは、お母さんのことが大変心配で、国連の委員会にも同じ話をしています。そのパターンが地村さんたちや蓮池さんたちにも当てはまるのではないか。そういうことで私は地村さんに話を聞きました。蓮池さんには聞けていません。そしてそういう仮説を立てたんですが、それについてせっかくですから、元工作員の金東植さんが韓国から来ているので、日本国内の協力者なしでも拉致はありえるのか、そんなことは工作機関の常識ではないということなのか聞いてみたいと思います。