国際セミナー「北朝鮮は世界の拉致被害者をすぐに返せ!」全記録
◆中国に非常に大きな責任がある
櫻井よしこ
みなさんこの拉致問題が、私たち日本人に何を教えてくれたかをちょっと思い出してみたいと思います。私は覚えています。横田早紀江さんが、「日本がしっかりした国であるならば、この問題は解決できるんだ」とおっしゃった。日本国が国家であるということを思い出さなければならないという意識を、私たちに呼びかけてくださったと思います。
今、よくよく世界情勢を見てみると、日本の政治家、そして何よりも私たち日本人が自信を持ってこの先頭に立つべきだと思います。
さっきちょっと言いましたが、アメリカのオバマ大統領はどっちかというと内向きです。言うべきことも言わなくなりましたね。例えばシリアで13万人にのぼる人たちが殺害されています。政府が殺害しています。このような人道が犯されている、違法なことが行われている国にさえも、アメリカは正式に、軍事介入しませんと言いました。
日本に対しても、色々なところで波風を起こさないようにというのが一番のアメリカのメッセージです。ここには、正義のために立ち上がるという決意が見えない。人道のために働くというオバマさんに聞かされていた精神というものがあまり見えない。
大国ではあるけれども摩擦を恐れる。摩擦を起こさないために中国にもものを言わない。北朝鮮に対しても、本当は厳しい制裁を徹底させるべきなのに、またぞろ6か国協議なんていうことを言い始めている。私たちはこの国際社会の正義とか、守られるべき価値観とか秩序を一体どの国が守るのかという問いに直面しているわけです。
アメリカが動かなければ中国はどうしますか。中国は人道を守らない。国際法を守らない。人々の安寧を保証する秩序を守ったり、そのような役割を期待することは金輪際できませんね。
むしろこの報告書の中でも、脱北者者を送り返してはならないということを突きつけられています。報告書の中でも、中国に非常に大きな責任があるという趣旨が明記されています。これはとても大きなポイントです。
この中国が、私たちが望むような価値観をどぶに捨て去るような実際の行動をとっている。私たちは、アメリカがやらない、中国はもちろんやらない。誰がやるのかということを考えなければいけないわけです。
私は、日本しかないと思います。日本国政府と日本国民しかないと思います。本当に幸福なことに、今安倍政権です。このことを誰よりもよく分かっている政権です。そして、ただ単に理想を掲げるだけでなく、このような理想を実現するための手段、あらゆる意味の強さを日本国は身につけなければならいと考えています。
そういう意味で、もちろん他国との協調は大事ですが、他国との協調で第1位になろうとするよりは、自分たちがまず解決の力を身につけるという決意を持って、その決意を示した上での協調関係という順番でなければならないと思います(拍手)。
どうもありがとうございます。そしてなんとしてもこの拉致問題、これを安倍政権の内に解決すると総理がおっしゃっているわけですから、これを全面的に支援して、私たち一人ひとりも決意を固めて、私たちは今日本のためだけではなく、我が国周辺のアジアのためにも、そして人類が目指すべき価値観のためにも、ここで踏ん張るという決意を固めようではありませんか(拍手)。
例えば日本国の力を強くする法案が色々あります。そうした問題について、訳の分からない議論が横行しています。拉致問題、家族がさらわれていっている、友人がさらわれていっている。それに対して私たちはこんな思いを持っているという立場から、日本国は今ほど限りなく強くなければならないということを訴えていきたいと思いますがいかがでしょうか(拍手)。
このような思いを共有して国連の人権調査委員会の報告書をなんとしてもニューヨークの国連安保理に持ち出して、もし中国がその前に立ちはだかるならば国際社会に、人権問題を蹂躙しているのは中国であり、歴史問題において日本を非難する資格はありませんよということも含めて(拍手)、人権問題に背を向ける中国の姿を国際社会に訴えて、安保理事会でだめならば総会にでも持ち出して北朝鮮に対して、大いなる反省を力で迫り、心で迫ることをやっていきたいと思います。どうもありがとうございました(拍手)。
櫻井よしこ
それでは第2部に移ります。タイ、韓国の方々等にお話をうかがっていきたいと思います。