「北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会79」全記録
◆北朝鮮は今不安定だから日本に接近してきたのか
西岡 今日やることの全体を整理し、各論に入りたいと思います。救う会の連続集会ですので、拉致の観点から考えたいと思っているんですが、北朝鮮の金正恩政権が今どういう状態にあるのかということが分からないでは、交渉に臨んだり、我々の運動を進めることができません。
この4月に最高人民会議があって、かなりの人事がありました。張成沢処刑後、金正恩が任命した人間たちによる政権になりつつあります。これを安定してきたと見るのか、不安定だと見るのか。
そのことと、張成沢処刑後突然日本に急接近してきたこととの相関関係をどう見るのかというのが一つのテーマです。
まずファクト(事実)として、この4月に行われた人事、そしてミサイル発射です。また、安定か不安定かのもう一つの要素として中国との関係があります。
その上で、来週(5/26-28)日朝協議がもたれることで惠谷治さんに来てもらいました。
もう一方で、今日本の政治の大きなテーマが集団的自衛権に関する憲法解釈の問題で、総理のもとで、私的懇談会である安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会、安保法制懇が報告書を出しました。
かなり長いものですが、ちょっと読むと、これは拉致問題のことを言っているのではないかという部分があるんです。つまり、安全保障に関する法制、憲法解釈が今後どうなるかということと拉致問題は無関係ではないのです。
先ほどの話とつなげて言いますと、金正恩が不安定であるという前提に立つならば混乱自体が起きる。混乱自体が起きた時にどうやって被害者を救うのか。我々家族会・救う会は、「圧力によって北朝鮮を交渉の場に引き出す」、そして「安全に生存者を取り戻す」ということを戦略にしてきて、それが今始まったという評価をしていますが、一方で北朝鮮の混乱事態はいつ起きてもおかしくないという状況で、米韓軍はそれを想定して、数年前から軍事演習をしていますし、そのもっと前から混乱事態に備えた作戦計画を立てています。
あとでまた惠谷さんにも紹介していただきたいと思いますが、米軍は混乱事態を作り出すための作戦計画さえ持っています。心理戦ですが。こういう状況の中で混乱事態になった時に、今の憲法解釈や、自衛隊の法令上の枠組みの中で安全に被害者を救い出すことができるのか。
あるいは今議論されている、憲法解釈が変わったあとにはそれがどう変わるのか。これは我々の拉致救出運動の観点からも重大な関心事であり、その問題の第一人者である潮匡人さんに来ていただきました。
私たちの日程のこともあり、また家族会の方々の個人的な事情もあって今日は家族会の方は来られていませんが、冷静になって、状況を見て、そして日本が何ができるかということを考えたいと思います。
また来週月曜日からスウェーデンのストックホルムで始まる日朝局長級協議の見通しも踏まえて3人で議論したいと思います。
どうしても惠谷さんも潮さんも専門家ですから、話し始めると話が難しくなって、拉致ではなく北朝鮮人事そのものとか、安全保障の法制そのものになっていくと思いますので、私は救う会の運動家の観点からストップをかけて、それが我々にとってどういう意味があるのかと途中で質問したりさせていただきます。