「北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会79」全記録
◆申告と検証こそを行うべき
西岡 そして調査の進め方で絶対もめます。合同調査委員会がもめていれば、その間時間稼ぎになってしまう。それは絶対認められない、と。拉致をした北朝鮮が調査をして、既に分かっていることが多いと思いますが、日本に申告をする。その申告をこちらが検証する。検証して納得できなければ、申告のやり直しを求める。こちらがすべてのデータを検証した上で、これが全員の真相だと納得できるまで何回も申告、検証のプロセスを続けるべきだ、と主張しました。
それは国際社会が核問題で北朝鮮に要求している、「すべての核物質を国外に出しなさい。そして核爆発物質の量を申告しなさい」と同じです。そして6か国協議の北朝鮮を除く5か国が検証するプロセスと同じです。
その検証の中では、例えば核技術者に自由にインタビューできるということも国際社会は求めているわけですが、日本も彼らが出してきた申告の中で、工作機関に勤めていた人間と家族を第三国に出して、インタビューできるように求めるべきです。
これは国連安保理事会がイラクに求めた化学兵器を作っているかどうかを検証するのと同じです。そういうことを言っていたわけですが、安倍政権は今、「調査の中に日本政府関係者を入れるよう求めている」と書いてあります。
これはどういうことかと思って対策本部の方にいろいろ聞きました。大変偉い方にも聞きましたが、みなさんが「誤報だ」ということでした。「そんなことはない」、「申告させて検証するのが日本の考え方だ」とおっしゃっていました。
ではなぜこんな記事が出たのだろうかという次の疑問になるわけです。そしてこの記事は、「合同調査委員会設置か」とはなっていないんです。見出しは「正恩氏直轄組織が接触」で、それは国家安全保衛部と書いてあります。
つまり、今行われている交渉は、表向き北朝鮮外務省の大使が出てきて、日本はアジア局の局長が行って外務省同士の交渉となっていますが、この記事によると、北朝鮮で交渉を仕切っているのは国家安全保衛部だと書いてあります。
国家安全保衛部は政治警察です。そして、国家安全保衛部が仕切っていると聞くとみんな思い出すのは「ミスターX」です。この記事にも「ミスターX」と書いてあります。
田中均局長が、小泉訪朝の前に交渉していた相手は「ミスターX」と言われた。その人が保衛部の人だったと言われています。今回同じことが起きているのであれば、小泉訪朝の時のように大きな進展が起こり得るのではないかという見立てもありますが、一方で合同調査委員会を作れば時間稼ぎだけで終わってしまうということにもなります。