「北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会79」全記録
◆集団的自衛権で日米関係強化は北朝鮮には望ましくない事態
西岡 「国連の集団安全保障措置」とありますが、実は今朝鮮戦争の休戦状態です。北朝鮮が戦争を起こした時(1950年)に、国連の安保理事会は北朝鮮の行動を侵略と位置付けて、国連軍という名称で、国連の旗を使って、北朝鮮の侵略を武力を持って排撃すべきだという決議をしました。
その決議は、ある面で休戦中ですから今も生きている。そこに日本が加わるということも、「我が国が当事国である国際紛争を解決する手段としての武力の行使には当たら」ないから「憲法上の制約はない」とこの報告書は言っている。だから国連軍に加わることは可能と言えますか。
潮 はい。この報告書の立場は、まさに今言われた立場を継承しています。具体例をあげれば、いわゆる正規の国連軍に自衛隊が参加することは憲法上の制約はないと解釈すべきだと報告書では明言しています。
但し、総理の会見では、「具体的な事例としてはいわゆる湾岸戦争やイラク戦争に自衛隊が参加することはございません」という形で触れられました。まさにこの2番目の枠は、安倍内閣としては報告書の提言を採用しないという立場を明言されたということです。
西岡 このこときちんと整理したいと思いますが、1番目の「集団的自衛権」と拉致問題について何らかの関係性がありますか。
潮 もちろん拉致問題を解決する際に、いわゆる日米同盟による抑止力が肯定的に働くという脈絡において当然関係するということになると思います。日本が集団的自衛権の行使に踏み出すことで、まず生まれる効果として帰隊されるのは、いわゆる日米同盟がより強固になるということです。それは例えば軍事的、あるいは国際政治学的、国際安全保障関係の上では、北朝鮮にとっては望ましくない事態だということになりますので、当然そういう脈絡では関係していると思います。
西岡 この集団的自衛権に関係しますが、北朝鮮は今弾道ミサイルを開発しています。彼らの目標はアメリカ本土まで届く核弾道ミサイルの開発だと思いますが、日本はアメリカと協力してミサイル防衛システムを持っています。
今までの解釈では、アメリカに届くミサイルを日本が技術的に撃ち落とすことができても、使用できないと言われてきました。そういうこともこの報告書には書かれていますか。
潮 その点については、今回の報告書ではなく、第1次安倍内閣の時の報告書、これは報告書が出た時には福田内閣に代わっていましたが、その中で議論されたいわゆる4類型の中の1類型が、まさに今言われたことです。
北朝鮮という特定の国名を挙げたわけではありませんが、普通の日本人が読めばそういうことだろうと思う脈絡で、北朝鮮から発射された弾道ミサイルが米国に向かって飛んでいく。それを海上自衛隊が迎撃できるにもかかわらず、迎撃できないという現在の縛りを解く必要があるということをはっきりと明言された。
今回の報告書でも、もちろんその立場は踏襲しているわけですが、実は正確に言うと、?名ずしもすべてが採用されたわけではないということだと思います。