「北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会79」全記録
◆「法人輸送中の米艦防護」をしないでいいのか
西岡 もう一枚のパネルは拉致と関係がありますか。
潮 こちらは話題になっている集団的自衛権の行使の必要性を国民に分かりやすく説明したいという総理の意向でこの絵に最終的に決まったということです。いずれも官邸のホームページにあります。
これをまずみなさんに見ていただくと、固有名詞は米国政府しか出てきません。また、日本と北米大陸だと地図で分かります。となると日本の西北にあるのがユーラシア大陸となります。
攻撃国が被攻撃国にドンパチをしている有事だと書いてあります。誰がみてもこれは北朝鮮と韓国だと思うでしょう。この点では法制懇でもそうしたことを念頭に議論されていただろうと思います。
その際に、韓国にいる在留邦人、あるいはアメリカ人を、アメリカの艦船に、これは米軍の軍艦に見えますが、載せて日本に向けて輸送する。その際、アメリカの艦船が攻撃を受ける可能性がある。そのアメリカの艦船を自衛隊の護衛艦などが文字通り護衛する、防護することも現在の解釈では禁じられている。本当にそんなことでいいのか。これすらできないというのはおかしいんじゃないかと、総理は会見で強調されたわけです。
そもそもなぜこんな話になるのか、なぜここにアメリカの軍隊が登場しているのかというと、現在の法令では日本の自衛隊には、そもそも法人を保護・救出する権限がないわけです。輸送することしかできない。しかも、輸送活動の安全が確保された場合しか輸送できない。
従って、実際に極東有事、朝鮮半島有事が起こった際は、自衛隊による輸送活動は行われないということになる可能性が非常に高い。その際そうするか。アメリカ様にお願いする。そういう前提でこのパネルは作られているということです。
しかし、そのそもそも論がおかしいのではないか。アメリカの艦船すら防護できない今の憲法解釈はおかしいと私も思いますが、要は「臭いものは元から断たなきゃダメ」と言いますが、そもそも日本の自衛隊が邦人を救出、輸送できるようにすべきではないかと私は思いますが、また報告書もそのような思想性で書かれていると思いますが、総理会見ではまさにこのパネルを使って説明された。ということはそもそも自衛隊に救出させるお考えはないということですね。
そう私は理解しましたが、その理解が正しいのであれば、やはりこの点でもがっかりです。