「北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会79」全記録
◆個別的自衛権での対応は、最も危険な、立憲主義に反する解釈改憲
西岡 自国民保護は集団的自衛権ではないわけですよね。アメリカに頼まなくても自衛隊法を改正してできるようにするというのは、法制懇を通さなくても、今の解釈で十分できるのではないかと思いますが。
潮 まさにその解釈だと思いますが、それについてのこの報告書のポイントは「集団的自衛権」の○印の部分です。「憲法第9条の規定は、我が国が当事国である国際紛争の解決のために武力による威嚇又は武力の行使を行うことを禁止したものと解すべきであり、自衛のための武力の行使は禁じられていない」という解釈に立てばそうしたことも許されることになるわけですが、実はそこの部分は安倍総理の会見で明確に却下されてしまったんです。
従って、安倍総理の会見をもとにした今後の可能性を考えると、先ほど申し上げましたが、「その事態が我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性が」ない時には集団的自衛権も行使できないし、もちろん個別的自衛権も行使できないことになります。
ちなみに、パネルの「法人輸送中の米艦防護」の話について、例えば「NHK」や「朝日新聞」などは、「必ずしも集団的自衛権を持ち出す必要はない。個別的自衛権で説明できるのではないか」と報道しています。あるいは、与党の公明党もそうした立場だと報道されています。
実はそのことについても、報告書ははっきりと反論を書いています。というのは、仮にこういうケースで日本の自衛艦が発砲するということになると、国連の安全保障理事会に報告する義務が、国連加盟国として生じます。
その際に、「NHK」、「朝日」、公明党様の意見が今後通るのであれば、個別的自衛権として武力を行使したという報告になるわけですが、そんなことをしたら、国連安保理が「お前ら馬鹿か」と言う。つまり国際社会では通用しないわけです。
報告書はこういう文言でその議論を諌めています。「仮にそのようなことが許されるのであれば、そうした各国それぞれの整理が横行することになり、返って危険な議論になる」、つまり国際社会の常識で集団的自衛権だと見なされるケースを個別的自衛権として対応することは、実はそれこそが最も危険な、立憲主義に反する解釈改憲と非難されるべきことと私は思います。