北の「特別調査委員会」をどう見るか?東京連続集会80 全記録
◆「特別調査委員会」は3号庁舎を調査できない
惠谷 信任投票なんです。我々は投票用紙に名前を書きますが、北朝鮮では書く必要がない。気に入らなければ×にするんです。その作業をして投票箱に入れると、あいつが反対したとすぐわかる。ですから反対がない。それはソ連も一緒でした。ゴルバチョフになってから変わりました。
さて、最高人民会議が、国権を代表するとか色々な表現がありますが、憲法上は最高人民会議常任委員長が国家元首です。例えば北朝鮮に赴任する大使の信任状を受け取る。そういう煩雑な作業をしたくないので金正日は国防委員会委員長になったと言われています。その最高人民会議で内閣総理や大臣等が専任されます。形だけは検察庁の人事もします。
このチャートでは、国防委員会の下に国家安全衛部があります。はっきり言えば秘密警察です。その右に人民保安部。これは内務省ないしは警察ということです。
また国防省といわずに人民武力部ということで、部長がトップ、その下に局長で日本とはイメージが逆になります。もう一つ北朝鮮で大事なことは部長は一人ですが、第一副部長というのは何人いるか分かりません。例えば国家安全保衛部となると、大きい組織ですから3?4人、あるいはもっといるかも分かりません。
そしてその下に副部長がいます。一人の第一副部長につき、副部長が数人いますので、副部長はうんざりするほどいます。その下に政治局長、これは局長一人です。しかし、政治担当者というのは思想統制、検閲など重要な役割をします。下にありますが、権力は部長と並ぶくらいです。これが北朝鮮の特徴です。
内閣府は日本のイメージと同じようなものですが、行政には権限はありません。こういう北朝鮮を理解していただいた上で、もう一度国防委員会が特別な権限を付与したのが今回成立した「特別調査委員会」ということになります。
ということは、この「特別調査委員会」には、党に対する権限がなにもないわけです。拉致をしたのは党の組織です。3号庁舎の連中です。しかし、特別調査委員会はそこを調査できない。これは北朝鮮の政治システム上そうなると言えます。
ですから、どういう答えが今度あるか分かりませんが、西岡さんが言うように、あまり期待できないというのがこのチャートから読み取れるということです。