北の「特別調査委員会」をどう見るか?東京連続集会80 全記録
◆平壌市住民登録台帳の85人はほとんど日本人妻
特定失踪者の公開の方と生年月日が一致する人は一人もいませんでした。逆に、1959年から60年代にかけて多数の日本人が在日朝鮮人と一緒に北朝鮮に渡ったわけですが、いわゆる日本人妻の人たちの名前がどんどん出てきました。
そこで平田事務局長と一緒に、日本人妻の支援をしている日本国内の団体のところに行ってその名簿を見てもらったところ、「この人も知っている、この人も知っている。この住所は正しい」と確認してくださいまして、まずその210万人のリスト自体は本物だと分かりました。しかし、そこには拉致被害者は入っていない。
ただ、曽我ひとみさんだけは入っていました。夫がジェンキンスさんだということで分かりました。これはどういうことか。一般社会に出ている人は、公民証の登録をしますから住民登録台帳に入るわけです。
しかし、軍隊に入ったら一般社会の公民証ではなくなりますので住民登録から削除されます。軍の登録になります。工作機関に入っても同じように削除されます。基本的に住民登録台帳を調べても、工作機関の中で管理されている人は出てこないんです。
余談ですが、「週刊朝鮮」の報道によると、めぐみさんと生年月日が一致し、そして娘の名前が一致し、夫の名前も一致する女性が二人出てきたんですね。しかし、血液型が違っているんですが、住所が分かるものですから、そこを調べたところ、そういう人が住んでいた形跡はありませんでした。娘のウンギョンさんを金日成総合大学に入れるためには、ウンギョンさんの住民登録が必要で、それで母親の住民登録を住んでいない住所で作ったのかなあと想像しています。
それでも2004年前めぐみさんが生きていなければ、母親の所は死亡と書けばよかったのにそれをしなかったのは生きていたという証拠ではないかとは思っています。しかし、基本的には工作機関の中にいる人は、(住民登録台帳には)出てこないんです。
従って、行方不明者の分科会で、「日本側の資料も参照しつつ」、つまり、860人ならその資料を住民登録台帳で民族は日本人で引いて、生年月日で合わせたら多分ゼロということになると思います。
もしかしたら、曽我さんと同じように、工作機関では使われなくて一般社会にいる人が出てくるかもしれません。そしてそれで終わりにしようとしているのかもしれません。
一般社会にいる人は秘密を知りません。出しやすい人です。もちろん日本政府も、この北朝鮮の説明はおかしいということに気づいていて、「今回の日朝協議では北朝鮮の説明を聞いてきて制裁を解除するかどうか判断するためだから議論をする場ではなかった」という説明でしたが、それでもこれだけでは困るとの立場で問題提起したと言っていました。
「特定失踪者の中には拉致が濃厚な人もいるのだから、一般の行方不明者ではなくて、拉致被害者として調査してほしいということを申し入れました」と言っていました。
各分科会の活動については、「今後日本側と協議しながら修正していくこともあり得る」と日本側の概要には書いてあります。北朝鮮の「中央通信」はこの部分を報道していませんが、今後どのような展開になるのかということも注目されることです。