北朝鮮の再調査結果、予想される問題点?東京連続集会81 全記録
◆交渉継続のための制裁解除は許されない
中山 そうですね。交渉を続けるためにこの制裁解除を使ったということが許されるのだろうかと、そんな心配もしています。私自身は、政府は何らかのリストを入手しているに違いない。そうでなければ制裁解除はしないはずだと考えているんですが、それが¥もしなかったら、何と言っていいのか分かりません。
西岡 政府の説明は、解除した制裁は大変小さいものだと言っています。それからもう一つ。「北朝鮮が出してくる調査結果がひどいものだったらもちろん制裁をかけなおすんですよね」と言ったら、伊原局長は、「今交渉が進んでいる最中に北朝鮮が変なものを出してきた場合という仮定で話をするのはよくないと思います」と言われました。
安倍総理は読売新聞とのインタビューで、「当然制裁は北朝鮮が肯定的反応をするために使うので、変なことになれば制裁をかけなおすことは十分ある」と。そして、「人道支援は一度取られてしまったら帰ってこないが、制裁は解除してもまたかけなおすということで使える」とおっしゃっていまして、少しほっとしました。
中山 私が参加したのは2002年ですが、安倍総理は家族会結成の頃から被害者に対して非常に暖かい目で対応してくださった。何としても取り戻すとの強い意思をお持ちだということは、私は側でおつかえしてよく分かって、強くそれを感じていますので安倍総理を信じています。西岡先生もそうだと思いますが、それと事務方の動きがしっくりせず、ちょっと違っているかなという心配があります。
西岡 制裁を先に解除してしまったという部分についてですが、最初私は北朝鮮の船が入ってくることを許したこと、人道物資を持っていくことが前提で万景峰号はだめということですが、しかし人道物資ということで朝鮮総連がお米などを大量に買って北朝鮮に持っていくことが起きるのではないか(と心配しました。
1995年のことをすぐ思い出しました。当時加藤紘一自民党幹事長が主導して、50万トンの食糧支援をしたんです。その時実は3年くらい経っている古古米を出した。倉庫代がかかるということで、日本としても経済的にプラスになるようなことを人道支援としてやりました。そして、「運送費もかからない。北朝鮮から船が来るんだ」と。
北朝鮮の船が日本の港に来て古古米を積んでいってしまったんです。どこの誰に配ったのはモニタリングしなかった。それで日本からの米を中国に売ったのではないかという転売疑惑が起きました。とにかく分からないわけです。
人道支援をする場合は、モニタリングが絶対必要なわけです。今回は貨物船が来るということで聞いてみたのですが、そういうことはしていないそうです。個人が個人に送るもの、そういう人道物資の運搬だけを許しているということでした。セーターなら何枚ということになっています、という説明を受けました。
ではコメは何トンならいいのかという規準について決まっていると聞いていますが、公開されていません。そういう心配なところはありますが、今の所北朝鮮の船は来ていない。つまり実際に北朝鮮に何も物は運ばれていない。これを北朝鮮がだまされたと思っているのかよく分からないのですが、解除したのに船が来ていないということは、彼らに実質的な利益はまだいっていない。
あとは朝鮮総連の幹部が北朝鮮に行けるようになった。9月9日(の行事のため)に許宗萬(ホ・ジョンマン)議長が行くようですが、それが唯一のプラスです。
万景峰号を含めて人道支援物資を認めようとした2008年の福田(康夫)政権の時よりはましとは思っていますがどうでしょうか。あの時は中にいらっしゃいましたよね。