北朝鮮の再調査結果、予想される問題点?東京連続集会81 全記録
◆「権限がある委員会」は意図的リークか
西岡 次に7月1日に北朝鮮が説明してきた特別調査委員会に関することに進みたいと思います。これも言ってみればフィクションなんです。特別調査委員会なんかできなくても、拉致被害者に関する名簿は金正恩氏の手元にあるわけです。
どこかで安倍総理がおっしゃっていたと思いますが、「北朝鮮は金正日が一度口に出したことを否定するということは彼らにとって大変負担になる。だからもう1回調査をして、前回の調査で金正日が間違ったのではなく、前回の調査が間違っていたと言うことだけは認めてやってもいい」と。「そこは戦術的に譲歩してもいい。しかしそれ以上の意味は再調査委員会にはないんだ」ということですが、人質を取り戻すことを前提に考えればそうなります。
しかし、北朝鮮の特別調査委員会の説明がなされた時に、一斉に報道されたのは、「国防委員会から権限が付与されたから大変いい委員会ができた」とか、「国家安全保衛部が、秘密警察が入っているから今回は今までとは違うだろう」とか、そういう解説があふれていました。意図的にそういう解説を誰かが流しているのではないか。
特に今回の交渉では、局長級会談がなされる前に、秘密交渉がたくさんなされたんですが、秘密交渉をやっているというリークがたくさんあって、その秘密交渉の相手は国家安全保衛部の幹部で、金正恩の側近だという報道がどんどん出たんです。
秘密交渉というのは秘密交渉なんですから、マスコミに出たら秘密交渉ではないのに、誰がもらしているのか最初よく分からなかったんですが、どうもこの委員会がいい委員会だと思わせたい人たちが流しているのではないか。
この委員会が権限のあるいい委員会だとみんなの頭の中に入ってしまうと、この委員会が出す結論をみんなが信じてましょう、となる。北朝鮮が誠実にこんないい委員会を作って調査をしたんだ、と。だから人道的な立場で人道支援をするべきではないでしょうかとか、そういう議論をしたい人たちが流しているのではないかと強く疑っています。
これは建前で、あなたたちが全員返すために委員会を作ったと言いたいのならそれは認めてあげますよということだけですから。生きている人を本当に全員返す決断をしているのかどうか、ということと何の関係もないにも関わらず、「権限がある」というリークがされているのは大変不可解だし、ある意図を感じるんですね。