国際セミナー「日朝拉致協議の遅延をどう打開するか」全報告
◆金正日型のシステムが続いたままの金正恩政権
より組織指導部が強くなったが、それは金正恩の腹心ではない。金正日の腹心で、金正日は死んだのに、金正日型のシステムが続いているということです。それが金聖?さんの言い方で言うと、「独裁者は決裁をしますが独裁者はミスが多くなる」ということです。
ただ、そこで隙が出てくる。組織指導部は一人じゃないんです。第一副部長が誰なのかも分からない。3人か4人いる。部長はいません。副部長も何人かいる。その第一副部長の一人が軍では総政治局長になります。隠れた隠密のような存在が軍のトップです。それがどうなるのか。組織の中で派閥争いが起きるのではないか。
金正日なしの金正日体制は続くのかというのが今の権力の第一の矛盾です。その話を張真晟さんがずっとしてくれ、そのことを頭に入れないと今の北朝鮮は分からない。それが分からなければ、金正日政権ではない金正恩政権を相手とする拉致の交渉もできないということです。
一端ここまでとします。
櫻井 ありがとうございました。そうしますと、組織指導部が実験を握っている。軍でもない、保衛部でもないということですが、ではこの日朝の拉致協議になぜ彼らは入ってきたのか、そして事実上向こうは何もしていないということですが、協議が停滞しているのか。そのあたりを張真晟さん及び西岡さんに解説していただきたいと思います。