国際セミナー「日朝拉致協議の遅延をどう打開するか」全報告
◆北朝鮮でやってはいけないことが起きている
櫻井 今の話を伺っていますと、組織指導部が絶大な権力を握っていて、組織指導部を金正恩自身がコントロールしているかどうかも定かではない中で、組織指導部のトップにいる人が本当の意味での北朝鮮の実験を握っている人物と考えていいのでしょうか。もしそうであるならば、どういう人物が組織指導部を握っているのですか。
西岡 組織指導部のトップは一人でなく何人かいます。今、第一副部長が数人いて、金慶玉(キム・ギョンオク)が今実験を握っているのではないかと彼は言いましたが、もう一人、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)が軍担当の第一副部長でしたが、崔竜海(チェ・リョンヘ)という金正日側近をおしのけて、軍のトップである軍の総政治局長になったんです。
陰にいた組織指導部の第一副部長が表の軍のトップになったという新たな現象が起きた。中にいる人間は、「なぜあいつだけが権力をもつのだ」と嫉妬もするでしょうし、彼がアジア大会の閉会式で金正恩専用の飛行機で韓国に来て、崔竜海と金養建(キム・ヤンゴン)という幹部を連れてきた。
その金養建が話をしたんですが、「黄炳瑞総政治局長の委任によって私は話します」と言ったんです。これは本当はやってはいけないことです。委任ができるのは首領だけなんです。「金正恩同志の委任によって発言します」と言わなければならない。
金正恩の飛行機に乗ってきて、まず降りてきて、「金正恩同志の配慮に感謝します」と言わなければいけない。しかし黄炳瑞はそれを言わなかった。
ボディガードを付けてきた。ボディガードも首領以外は付けてはいけないんです。それを付けてきた。つまり黄炳瑞は「俺は偉い」と思い始めているというふうにも見える。
しかし、黄炳瑞は今組織指導部にいないわけですから、残っている何人かの第一副部長をどう見るのかということがあると思います。