国際セミナー「日朝拉致協議の遅延をどう打開するか」全報告
◆根本的なことは国家の意思とその意思を実行する力
櫻井 色々な意見が出ましたが、安倍政権がもっと強い姿勢で臨むべき、外務省路線ではだめですよとか、野党が反対せずオールジャパンでやってきたはずだがそれにしては弱いじゃないかというご意見でした。
私は、拉致問題に対する世論のあり方を見ると、拉致問題を自分のこととして考える必要があるのではないかと思います。
国民全体が拉致問題に強い関心を持っている時は非常に拉致に関する姿勢を強く保つことができるし、北朝鮮に強い影響力というかメッセージを伝えることができるんですが、時折、被害者家族の皆さん方や救う会のような団体に対して、批判的な意見があります。
日本国がある問題を解決する時に、いかなる力をもって解決するのか、日本の国の根本的なあり方とも関係していることです。集団的自衛権の行使容認を閣議決定したとたんに、集団的自衛権に対する反対論の方が上回ってしまう、憲法改正に対する反対論の方が上回ってしまうようなこともありました。
国家というのはいかなる責任を果たすものなのか。国民の命に対して責任を持つ存在なのでしょう。国土、領海に対しても責任を持つ存在なのでしょう。しかし、戦後の日本はそうじゃなかった。
しかしこの拉致問題が起きた時、私はこのような会合で何回も言いましたが、我々の国はいったい国家だったのか、どうなのか。本当にまともな国にならなければだめなんだということを確認し合ったはずなんです。そこのところが、国民の大多数のレベルでまだできていない。
もしそれを私たちが進めることができるならば、安倍さんだって外務省路線に従ってやる必要はない。政治家の責任は厳しく問われるべきですし、各政党の責任も私は厳しく問いたいと思います。
それと同時に、私たち国民一人ひとりが、国の責任で救い出すにはあらゆる手段を講じるべきだということ。経済でダメ、交渉でだめなら力があるじゃないか。軍事力もあるんだよという形を作るところまでいかなければならないと思います。
その意味で、拉致問題に関心を持ち続けるということ、この拉致問題を解決する手段として国民が備えるべき力についても、もっと声を上げていただかなければならないだろうと思いました。
専門家の皆さんが色々なことを言ってくださいました。私たちはとても勉強になりますし、このような方向で行かなければならないと思いますが、根本的なところは国家の意思とその意思を実行する力なんだということをみんなで合意したいと思います(拍手)。