北朝鮮の内部状況と拉致問題の現状‐東京連続集会83 全記録
◆オバマ大統領「北朝鮮は崩壊するだろう」
西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授) みなさんこんばんは。1月の初めに1週間くらい韓国に行ってきました。北朝鮮の内部がかなりおかしくなっているなと感じました。
数日前、オバマ大統領が、「北朝鮮は崩壊するだろう」と。崩壊させるとは言いませんでしたが、「するだろう」と、アメリカの現職大統領が初めていいましたので少し話題になっています。
もちろんその根拠が何なのかは明らかになっていませんし、「崩壊する」という話はわが国でも何回もあってわけですが、やはり金正日時代とは違うおかしさ、切迫感みないなものを感じています。
そのことが拉致問題にどう影響するのかを今考えているのですが、今日は惠谷さんと討論してみたいと思います。
その前に拉致の集会ですから、今の状況がどうなっているのかについて、私がどう見るかを最初にお話します。
これは去年12月の国際セミナーでもお話ししましたが、北朝鮮も今拉致問題をどうするか迷っている。彼らが7月に特別調査委員会を作った時は、割と早く勝負をかけようとしていたという兆候がたくさんあります。
多分9月に1回目の報告を準備していて、7月に特別調査委員会を作った後発表したのだと思われます。その時私が抱いた危機感は、生きている被害者を殺して、本物の遺骨にして日本に出してくるという計画があるということでした。そこまでしても日本に接近して、当面の外貨を得ようとしていたという判断でした。それをどう防ぐかをずっと思っていました。
もう少し遡って、なぜ北朝鮮が安倍政権に接近してきたのかということです。大きな状況としては経済制裁が効いて外貨が枯渇してきたことです。北朝鮮の経済は二重構造で、これは去年ついにNHKまで報道したんですが、北朝鮮には統治資金という計画経済の政府の予算とは別の裏金がある。それが海外にある外貨です。それで統治してきましたが、そのお金が今枯渇し始めている。
財源は、実は朝鮮総連からの送金だった。それを第一次安倍政権以降厳しく取り締まって、日本からの送金は、正確なことは分かりませんが、かなり止めている。一方韓国は、金大中、盧武鉉政権の時に、10年間で100億ドルくらいのお金と物を出していましたが、それも李明博、朴槿惠政権になってかなり止まった。
中国は、最初から金正日、金正恩を信用していないので、物は出しますが現金は渡さない。その物も張成沢処刑以降減っている。
北朝鮮の根本的な弱点は、国際社会に売る物がないということです。今のいわゆるイスラム国は油田を持っています。それを闇で売っているわけです。イラクのフセイン政権は経済制裁を受けましたが、びくともしなかったのは石油を持っていたからです。しかし、北朝鮮は国際社会に売る物がないんです。
レアメタルがあるとか言いますが、インフラがないので、国際社会に売れるような状況ではない。それなのに平壌だけは明るくて、核開発が続き、ベンツの輸入を続けているんです。別途お金がある。
北朝鮮の貿易統計を見ると、毎年数億ドルから10億ドルくらい赤字です。それどころか、70年代に日本とヨーロッパからプラントをいっぱい買って代金を払っていないんです。国際的には破産国で、北朝鮮と貿易する時は、現金払いしか西側は応じないんです。それなのにベンツが買えたり核開発ができたのは、別途秘密資金を持っていたからです。それが枯渇し始めた。