北朝鮮の内部状況と拉致問題の現状‐東京連続集会83 全記録
◆国連の金正恩訴追決議の阻止に集中せよとの指令
ところが9月になって、延期するという方針になった。これは日朝が理由ではなく、国連の北朝鮮非難決議をなんとか防ぐことが理由だった、と聞いています。国連で、北朝鮮の人絹問題を取り上げさせて、金正恩を刑事裁判所に訴追すべきだという流れを作ったのは安倍外交です。
一昨年、国連の北朝鮮人権委員会を作るに当たって、一番積極的に動いたのは日本の外務省です。それは安倍政権の指令のもと、ジュネーブで動いたわけです。そして調査委員会のトップに首脳レベルで会ったのは安倍さんだけです。カービー委員長に安倍さんは1時間会いました。EUの大統領や総理大臣で会った人は一人もいません。韓国、アメリカも会っていません。
経済制裁と国際連携で北朝鮮を追い込むと我々はここで言ってきましたが、安倍総理もやったことは同じです。追い込まれて交渉が始まりましたが、経済制裁の結果、外貨が枯渇し始めて、遺骨ビジネスや総連の送金を復活させることを目標にして交渉を始めたんですが、もう一方でやはり安倍総理主導で始まった国連の状況が、北朝鮮から見て危機的になったので、準備していたカードを出すのを延期したのです。
「すべての外交力量を、国連の金正恩訴追決議の阻止に集中せよ」という命令が出たのです。姜錫柱(書記)がヨーロッパに行ったり、金永南(最高人民会議常任委員長)がアフリカにいったり、北朝鮮の外務大臣がニューヨークに10数年ぶりに現れたりということがあり、脱北者の人権活動家の活動についても非難が高まったりしました。
それと並行して、日本代表団に平壌にきてくれと言ってきて、行ってみたら英語の看板が準備されていた。平壌に、特別調査委員会の英語の看板がなぜ必要か。ニューヨークの外交で、拉致問題については誠実に調査していることを宣伝するために必要だったのです。日本人に、誠実に調査していることを知らせるのならハングルと漢字で書けばいいんです。すべてニューヨークを意識していた。しかし、その努力は失敗して、去年の12月に国連総会で、「拉致問題を含む北朝鮮の人権問題は人道に対する罪であり、安保理事会はその責任者を国際刑事裁判所に訴追すべきだ」という決議が通りました。
安保理事会では正式の議題になって議論が始まっています。まだ訴追するかどうかの採決はしていませんが、議論が始まったのが現段階です。