北朝鮮の内部状況と拉致問題の現状‐東京連続集会83 全記録
◆金正恩暗殺未遂事件が2回
西岡 それでは北朝鮮の内部状況の話に入ります。ソウルで聞いてきた話がいくつかあるんですが、一番驚いたのは、国家保衛部関係者から聞いたという人から聞いたんですが、金正恩暗殺未遂事件が2回あったそうです。国家保衛部関係者は昔からの親しい友人で、第三国で会って聞いたというのでかなり信憑性があるなと思っていました。
一つは、配布資料にある2012年11月のことです。具体的な日時ははっきりしていなかったのですが、(金正恩が)平壌市内の工事現場を現地視察に行く時に、向かい側のビルの中から実弾が装填された機関銃が見つかった。同じころ、平壌に武器を持ち込もうとした車両が摘発された。それが最初の暗殺事件だと聞ききました。
金正恩は、政策上の失敗はたくさんしているけど、権力は安定しているというのが外部の多数派の見方だったのですが、未遂事件があったのかということで、色々調べて見たら、既に韓国で報道がされていました。
去年の11月に、脱北者出身のチュ・ソンハという東亜日報の記者が、電子版に書いた記事を翻訳したのが皆さんにお配りしたものです。
かなり詳しく、具体的に書いてあります。やはり工事現場に視察に行こうとした時に、機関銃が見つかったという骨子は同じです。2012年11月3日、平壌の紋?通りのローラースケート場などを視察した時に機関銃が発見された。犯人はつかまらなかった。しかし、金正恩の日程はごく少数の人しか知らない。工事をしていたのは張成沢が指揮をしていた人民保安部の内務軍だった。
張成沢が疑われた。11月3日のテレビの画面を見ると、他の随行員は笑っているのに、張成沢だけが重い表情で、後ろ手を組んだままいた。
惠谷さんに来てもらったのは、その後北朝鮮の報道などでこういうことがあったのか裏をとりたいと思ったこともあるのですが、チュ記者が書いたことによると、11月3日以降、金正恩の警備が厳しくなった。
金正恩官邸と別荘をはじめとする専用施設に装甲車が配置された。韓国当局それに気づいて、暗殺未遂事件があったということは分からなくて、何か騒動とかデモがあったのではないかと言っていた。
北朝鮮の報道でも、それまで警護員が出ることはあまりなかったが、その後は警護員が露骨に出るようになった。そして11月には突然、「全国分駐所長(派出所長)会議」と「全国司法検察熱誠活動家大会」が開かれた。
そこで、「騒擾・動乱を起こすために悪辣に策動する不純敵対分子と、懐中に刃物を抱いて時が来ることを待つ者を全部探し出して容赦なくやっつけてしまわなければならない」との指示が金正恩から出た。
そして、「不純分子掃討キャンペーン」が始まって、2013年1月から準戦時状態になった。対外的に緊張を必要としたのでなく、対内的に緊張が必要だった。すべての休戦協定を破棄すると言って、アメリカまで攻撃するという写真を出していましたが、不純分子を見つけ出すために意図的に緊張を高めたのではないか、というのがチュ記者の記事です。
その後、軍の首脳の人事が大々的にあった。軍団長の半分以上が交替した。将軍の階級章のシーソーゲームが始まった。これは確かにありました。金正恩が飛行機に乗るのも、飛行機の方が国内の反対勢力の攻撃に対して安全で、鉄道や車で移動すると、国内の反対勢力がいつ攻撃してくるか分からない、というような記事が出ました。
この記事について、惠谷さんの判断はどうでしょうか。