北朝鮮の内部状況と拉致問題の現状‐東京連続集会83 全記録
◆大物幹部がドルを持って亡命続出
西岡 別のところから聞いたんですが、大物の韓国亡命が続いていると。最近、人民軍中将が一人亡命した。将軍クラスは初めてです。それから香港駐在の北朝鮮大使も段ボール3箱分のドルが入った秘密資金を持ち逃げした、と。ロシアで秘密資金を管理していた人物も逃げた。
まさに外貨が涸渇してきている中で外貨を持って逃げる人間、大物たちが続出している。その理由は、金正恩が幹部をどんどん殺すから疑心暗鬼になったということです。誰が味方か分からない、いつ殺されるか分からないので、お金を持って、逃げるチャンスがあれば逃げようとしている。
多くの幹部は、このままでは4年、5年はもたないだろうと思っている。改革開放しかないと分かっているが、金正恩は実行しない。粛清の先頭に立っているのが、金元弘国家安全保衛部長と、金正恩側近の崔龍海党政治局常任委員だが、その二人の大物の息子は党にいないで、今外貨稼ぎ部門にいる。親父の威光を借りてドル稼ぎをやっている。
張成沢の奥さんの金敬姫が、張成沢処刑後ぼけが出てきて、アルコール中毒もあって、中朝国境の白頭山の近くで療養していたが、回復して8月の終わりくらいに戻ってきて、金正恩と会って、「お前何をやっているんだ。そんなに粛清したらだめじゃないか」という話をした、と。
あまりにも金正恩に対して厳しいことを言うので、金正恩から遠ざけた。最後まで、「金正恩は間違っている」と言い募っていて、10月に死んだ。一説によると、お酒に薬が入っていたものが届けられたという説もある。
金正恩は、国のために時が来るまでその死亡を公開するなと命令した。従って未だに、公式発表や葬儀はない。もう誰も頼る者がいなくなった。妹の金与正しかいない。彼女は今、宣伝扇動部の副部長で、近く組織指導部に移ると言われている。38号室、39号室の秘密資金を管理している。崔龍海の息子と結婚しているという説は間違いだ、という情報です。
30代の独裁者が20代の妹と一緒にいて、周りの誰が敵なのか分からなくて、古参の幹部たちを怒鳴りあげたり、殺したりしている状況だというんです。
惠谷 今の話で興味深いのは、金正恩の伯母である金敬姫が10月に死亡したことと、与正という金正恩の妹が、これまでも時折出てきていたんですが、このところしばしば出るようになりました。それは、与正にとっても伯母さんである金敬姫が死んだことで重しがとれ、副部長という形で随行にもしばしば登場するようになりましたので話が符合します。
もう1点興味深いのは、与正が西岡さんの情報によると、党組織指導部ではなく宣伝扇動部の副部長だということです。そして今後組織指導部に移るだろう、と。
これは、金正日、つまり与正の父親が1964年に党の中央本部に入った時に、同じように最初は宣伝扇動部に数年勤務し、それから組織指導部に移りました。党の仕事をするという上で、宣伝扇動部で培った経験、発想が組織指導部に移った時に活かされるだろうなと興味深く聞きました。