北朝鮮に未来を描かせないためにやるべきこと‐東京連続集会85 全記録
◆組織ぐるみで制裁破り?朝鮮総連の議長・副議長の家宅捜索、議長の次男を逮捕
西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授) その中で、3月26日に、朝鮮総連の議長、副議長の自宅が家宅捜索されました。水面下で交渉が始まっていて、向こうが回答を出すと言っているのを拒否する中で、もちろん違法行為があったから取り締まるんですが、総連の議長の家宅捜索は初めてのことです。
去年の5月に、朝鮮総連の議長の次男、許政道(ホ・ジョンド)という男の自宅と会社を家宅捜索しました。これは京都府警が中心になってやったんですが、そこでかなりの証拠物を持っていった。
朝鮮語で書いてあるものが多いからずっと調べていた。今年になって、いつでも次のステップに進める状況であったのではないかと私は聞いていますが、1月、2月は裏交渉をやっていたのでタイミングを見ていた。しかし、拉致を出さないと言っている中で、じゃあ配慮する必要はないじゃないか、違法行為は法律通り取り締まればいいといって家宅捜索に入った。
そもそもどういう違法行為かをおさらいしますと、先ほど言いましたように、日本は国連制裁よりも強い制裁をしています。すべての貿易を止めています。マツタケが日本に北朝鮮からずいぶん入ってきていました。
世界中でマツタケを高く買うのは日本だけなんです。中国人も、北朝鮮人も韓国人もマツタケはそんなに好きじゃない。香を楽しむ文化がないんです。だから日本に売らないと高く売れないんです。そこが他の食材と違う所です。日本がすべての貿易を止めたので困っていました。
しかし、私が聞いているのでは、制裁をかけた後も、中国産と偽って、かなりの量が日本に入ってきていた。その不正輸入をしていたのが朝鮮総連の議長の息子たちだった。では総連のお父さんは知らなかったのか。
北朝鮮のマツタケの輸出は労働党がやっています。あるいは軍部がやっています。民間の企業じゃないんです。個人が話をつけて中国産と偽って貿易ができるか。常識的に考えてそれはできないですね。組織ぐるみでなければできないだろう。
逆に言うと、組織ぐるみで、制裁をかけられているのもかかわらず、堂々と制裁破りを総連がやってきたんです。そういう疑いがもたれている。2012年でいうと、日本のマツタケの消費量は1500トンくらいです。200トンくらい不正輸入されたのではないかという有力な情報を救う会は持っています。10%以上になります。
それを組織的にやっていたとしたら、拉致を理由に制裁をかけているのに、それが効いてなかったということです。日本は法治国家であるのに、その法を無視して違う封建的なことをやっていたんです。これは当然取り締まらなければならない。そうでないと制裁をかけた意味がないんです。
そういうことについて確実な証拠を警察が握った。そして総連の議長と副議長の自宅を初めて家宅捜索した。
特別調査委員会を作って、拉致問題について調査すると言ってる最中に彼らの日本における最高幹部の犯罪を取り締まるということは、緊張関係になります。その時北朝鮮が、「じゃあ特別調査委員会をやめる」という可能性もあったわけです。
もちろん犯罪を犯した方が悪いんですが、拉致も犯罪でマツタケの密輸も犯罪ですから、案の定北朝鮮は激しく非難しました。しかしその非難を見ていると、特別調査委員会の徐大河委員長の名前で声明が出るんです。外務大臣の名前ではない。朝日友好協会とか人権委員会とか、聞いたこともないような団体の名前で出ます。
そして3月27日には国連の人権理事会が、北朝鮮人絹状況決議をまた採択します。ここでも拉致のことを書いています。26、27日の総連の捜査と、国連が人権問題を取り上げた。
そしたら4月2日に、北京の大使館を通じて、北朝鮮が通知文というのを送ってきた。これもおかしくて、「こういう通知をしました」という朝鮮中央通信の報道があるだけで、通知文の全文はまだ公開されていません。
そして報道で、誰が通知文を出したのかということを書いてないんです。主語がない。特別調査委員会が出したというのもないんです。外務省が出したわけでもない。彼らは国防委員会が権威があると言っていますが、じゃあ国防委員会が出したというわけでもない。ただ通知をしたというだけです。
その通知の内容で、「自分たちは一生懸命ストックホルム合意を守ってきた。ところが日本が、北朝鮮の国会議員を兼ねている総連の議長と副議長宅に家宅捜索をした。これは主権侵害だ」と。
日本の領土に不法に入ってきて人をさらって35年も40年も返さない方が主権侵害で、違法行為をして家宅捜索されただけで主権侵害というのは全くおかしいと思いますが、そう言いました。