北朝鮮に未来を描かせないためにやるべきこと‐東京連続集会85 全記録
◆北朝鮮との往来を原則禁止に、奴隷労働での外貨稼ぎを阻止すべき
西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授)
では具体的に、「未来がない」ようにするにはどうしたらいいか。日本が取るべきことと、国際社会が取るべきことを2つ提案しました。
日本が取るべきことはまず、人的往来を原則的に止めてほしいこと。今もマツタケの不正輸入の首謀者とか、核・ミサイル技術者とか、よど号グループの子どもで北朝鮮労働党に入っていると思われるような洗脳教育を受けた人たちが、転向もしていないのに自由に北朝鮮に行ったり来たりしています。新たなテロの準備をしているかもしれない。
今まさに、不正輸入をしていたことが明らかになっています。北朝鮮と結託してマツタケの不正輸入をしたんです。その首謀者がなぜ自由に行けるのか。日本人妻は、出国することさえ認められていない。
「日本は民主国家ですから、出国の自由は認めます。しかし、もう一度帰ってくる時には、永住資格はなくなりますよ。それを覚悟して帰ってください」。誰に再入国許可を出すかどうかは全く法務大臣の裁量です。1970年代初めまでは、原則として、北朝鮮を渡航先とする再入国許可は出していなかったのですから、それに戻すべきだ。
それから日本人も、北朝鮮に行く場合は、今の旅券を適用させるのはやめる。今危険地域に行くと言ったら旅券変換命令を出します。
1970年代初めまで、外務省は、北朝鮮に行くという人には「一般旅券は使わないでください」として、旅券に「この旅券は北朝鮮以外の国で有効です」、イクセプト・ノースコリアと書いていました。だから北朝鮮に行く人は別の旅券を申請したんです。北朝鮮は別の旅券は認めないと言って、別の旅券を持って北京の北朝鮮大使館に行くと、VIZAにはんこを押してくれなくて、別の紙にはんこを押していた。1980年代末までそういうにらみ合いをやっていたんです。それに戻すべきです。
それから厳格な法執行を強化してほしい。総連の中央会館転売をめぐっても、お金の流れがおかしいのです。いったい誰がグリーン・フォレストに払った40億円くらいのお金を払ったのか。その中の17億円は、朝鮮総連の持ち物だと思われていた出版会館を売ったお金が入っています。
朝鮮総連が、朝鮮総連の持ち物を売って作ったお金で買い戻すというのは許されないことです。なぜなら借金のカタとして売られたんですから。まだ、借金は600億円くらい残っています。17億円あるならば、それに払うべきです。そういうことについて、お金の流れをまず調べていない。
それから国際社会に求めることについては、先ほど渡辺先生がおっしゃった人権侵害を理由に制裁を実施しようということです。それには南アフリカの例がある、と。
もう一つ、これはアメリカに行って分かったんですが、北朝鮮が労働者を海外に派遣しているのは奴隷労働だ、人身取引に関する国際法違反だとして取り締まれという動きが出ています。
既にアメリカの下院で、そのことについて公聴会が開かれています。今北朝鮮の外貨源はかなりの部分が労働者の派遣で、その賃金を全部ピンハネしているんです。タコ部屋みたいなところに入れて、普通の労働者よりも夜勤もさせて、食べ物は自炊させて、外貨での給料はほぼ党が召し上げている。
クェートで働いていた出稼ぎ労働者が脱北してアメリカに来て、証言しています。その人は給料はゼロだったそうです。その外貨が核・ミサイル開発などに使われている。これは国際法違反で、奴隷労働です。
同齢労働では物を安く作れます。そういうものを買ったら奴隷貿易を認めることになってしまう。実際、カタールは、建設会社の労働者90人を集団解雇しています。監督官が搾取しているという理由です。これは効くんですね。外貨がなくなるから。
そういうことを準備して、拉致が解決しなければ、つまり生きている人を一括で7月までに全員返さなければ、強い圧力をかけますよという準備をしてほしい、と。
今まさに、7月に全員帰ってくることができるかどうか、絶望ではありません。まだ可能性はあります。しかし、まだ確定したとも言えません。本当に最後の勝負にきたと思っています。
以上ですが、実は今日、タイの海老原智治さんが一時帰国で来ていらっしゃいます。先ほど日本の家族がどんどん亡くなっているというお話が出ましたが、タイでも、アノーチャーさんのお兄さんが5月初めにご逝去されました。ずっとお兄さんのそばにいて、タイの被害者救出のサポートをしてこられた海老原さんからご報告をしていただきます。