これだけできる北朝鮮への追加制裁‐東京連続集会86 全記録
◆朝鮮半島有事における救出の準備を
西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授) アメリカを旅行中も色々議論をしてきてだいたい同じ考えですが、みなさんに分かりやすいように、私が質問する形にしていますのでご理解ください。
そういう観点からもう一つ。12番目の「朝鮮半島有事等に備え、米国とより一層緊密な連携を図り、拉致被害者を含む邦人の安全確保と保護に全力を尽くすこと」です。先ほどの塚田先生の説明の中でも、私の名前に言及してくださいましたが、私は、「有事の際、大混乱が起きた時に備えて救出の準備をしておかなければならない」と言ってきました。
既に米韓軍は大混乱が起きた時に北進するという軍事作戦計画を立てています。5029作戦計画というのがあります。その中に被害者を救出するミッションが入っているのかどうか。
塚田先生と一緒にアメリカのペンタゴン(国防総省)に行った時、実務者がにやっと笑って、「西岡教授の言いたいことはよく分かる。しかし作戦は秘密です」と言われました。でも何を言っているのか分からないという顔ではなかったということは、多分、実務者同士の中では議論がされているのかなと期待をしました。
一方、韓国の元国防研究院所長に来てもらってセミナーをやった時には、「米韓軍が動いている時に自衛隊が上陸してくることは迷惑だ」と言われました。「それは反日感情で言うのではなく、作戦をしている時に、同盟国でない軍隊が入ってきたら我々は撃つかもしれない。敵と間違えることがある。我々がどこに動くかという作戦情報は同盟国以外には教えられない」と言われました。
そういうことも含めて、日米韓の戦略的な協力関係の強化以外にないと思います。そこで今の集団的自衛権の問題については、私は被害者を救出する助けになる大きな意味を持っていると思います。
そのことを前提にして2つのことを検討していただきたいと思います。
一つは、第一次安倍政権の時から、大混乱の時の対策として考えられていることです。混乱時にはラジオ放送をして、被害者に、「行けるのならどこに行ってください」ということを伝えることです。そのためにも短波放送は必要な手段です。
その場合、相対的に安全な場所は、外国大使館です。特に西側の大使館です。例えば、被害者がイギリス大使館、ドイツ大使館に逃げ込んだ。しかし治安が回復していないという状況を想定して、邦人の輸送はできるわけですから、北朝鮮が混乱状態になっても権力がなくなり、米韓軍が平壌を占領すれば、米韓軍司令官が権力を持って、その地域の当事者となるわけで、米韓軍司令官の同意を得た上で平壌にある外国大使館に輸送に行く。米韓軍は他の作戦で忙しいでしょうから。
大使館に逃げ込んでくれとラジオで言うことが想定されているのであれば、その後のことについて、今の法律の枠組みでもできることが充分あるのではないかと思います。そこを十分検討していただきたいと思います。混乱の中に行っても、米韓軍が治安を維持していれば、行けるわけです。米韓合同軍事作戦の司令官はアメリカ人です。