北朝鮮はどう動くか-東京連続集会87 全報告
◆安倍政権は「拉致最優先で、それ以外の物は受け取らない」
西岡力(救う会会長、東京基督教大学教授) 今申し上げたように、国際的気運が高まっているのは大きな力だと思います。
実は私はこの9月21日、大変緊張していました。北朝鮮がいったいどういう発言をするのかということについて緊張していました。今年に入って水面下で月1回以上、外務省の幹部たちによる秘密協議が行われてきているんです。
しかし、去年10月に、日本政府代表が平壌に行った以降、一度も公式協議が開かれていません。その理由は、水面下での秘密協議の中で、お互いの立場が平行線でにらみ合いが続いているということです。
当初北朝鮮は、そもそも拉致被害者について調査する必要もないのに、調査をすると言ったのですが、その調査がまだ終わっていないという嘘をつきました。名簿はあるんですから出せばいいわけですが、それを出さず、墓地の調査と遺骨の調査、それから残留日本人やにほんじん妻の調査が終わっているので、それから先に報告したいと言ってきたのです。
墓地と遺骨について先に報告すると言ったことについては、水面下の協議内容の推測記事だけではなく、宋日昊大使が共同通信のインタビューの中で、「自分たちは墓地のことについて先に報告したいと言った」と認めています。
それに対して安倍政権は拉致最優先で、それ以外の物は受け取らないと言い続けてにらみ合いが続いていましたが、8月半ばか上旬くらいから様子が変わってきました。我々は今年3月以降、繰り返し「報告書を早くくれというのは危ない。また死亡の根拠を捏造するかもしれない。北朝鮮の態度を判断する基準は、生きている人を返すかどうかだ。全被害者の一括帰国を要求すべきで報告書にこだわるべきではない」ということを言ってきました。
8月6日、マレーシアで行われた岸田外務大臣と北朝鮮の外務大臣との会談につき、日本政府が公式に発表した内容ですが、岸田外務大臣から、「昨年5月の日朝合意の履行を求めつつ、日本国内の懸念を伝え、一日も早いすべての拉致被害者の帰国を求めた」、と。
それ以前は、「正直で迅速な報告を求める」と言ってきたんですが、ここでは「日本国内の懸念を伝え」も入っています。懸念というのはまさに家族会が、飯塚代表を初め繰り返し述べている懸念もそこに入っているのではないかと思いますが、それが伝えられて、「被害者を返せ」ということを、日本の外務大臣が北朝鮮の外務大臣に伝えたということです。
そして、皆さんの多くも出席してくださったと思いますが、9月の国民大集会でも安倍総理は同じことを言いました。