北朝鮮はどう動くか-東京連続集会87 全報告
◆中朝関係は史上最悪、日本の魅力が高まる
西岡力(救う会会長、東京基督教大学教授) そして中国は9月中旬頃、平壌に密使を送って、「ミサイル実験と核実験をやめろ。もしもそれを実行したら日本が核武装するぞ。それはお前たちの責任だ。だからそれをやったら北朝鮮人民軍に提供している石油を止める。軍服や靴などの供給も止める」と脅したんだそうです。そして最終的に、「やりません」ということになった。
だから、決死隊を作って準備していましたが、10月8日に発射はなかった。それで中国のナンバー5が平壌に行くことになった。しきりに金正恩は話しかけていましたよね。あの映像を北の国民に見せたかったのです。中朝関係は悪くない、中国が北朝鮮を見捨てたという噂は嘘だということを国内に必死で示すために、仲のいいふりをしていたんです。
しかし、中朝関係は史上最悪です。金日成時代、金正日時代にこんなに悪かったことはありません。お互いに別のことを考えていても、会ったら抱き合う関係でした。例えばソウルオリンピックに中国が参加すると言った時、金正日時代ですが、「絶対に阻止城」という命令を北朝鮮の外務省に出しました。
その時北の外務省に勤めていた課長が今韓国にいるのですが、その人の証言によると、北の外務省では「台湾カードを使って牽制したらどうか」という案も作って金正日に上げた。金正日は「やれ」と決裁した。
88年はまだ金日成が健在で、そういう大きな外交問題については金日成の決裁も必要で、金日成のところに上げたら「だめだ」と言われた。金日成は中国を信じているからだめだと言ったのではなく、「中国人は怖い。あいつらはポケットがいくつもある。何を考えているか分からないから。中国はオリンピックでソウルに行くけど、自分たちが台湾に接近したら何をされるか分からない」と言ったそうです。
しかし、そう言いながらも、訪問し、抱き合ったりしているのです。金正日も死ぬ直前の2年間に、3回くらい訪朝しています。ところが金正恩は、政権の座についてから一度も訪中していない。朴槿惠大統領は就任してから既に6回習近平氏と会っています。
そういう中で、狭い状況だけ、朝鮮半島全体から見ると戦略的に大きな問題はありますが、拉致問題についてみると、北朝鮮から見て安倍政権の価値が高まっている。国際的孤立を免れるために、日本の総理大臣が訪朝すること、魅力は彼らにとって高まっています。金丸訪朝の時と、様子が大変似てきているわけです。
ソウルオリンピックで、中国やソ連や東ヨーロッパが全部韓国を訪問して、その後、ソ連や東ヨーロッパが韓国とどんどん国交を結んだので、バランスをとるために日本とアメリカに接近する必要が出てきて、富士山丸事件の人質を返すからということを餌にして、社会党を使って、自民党の大物の金丸という人を訪朝させた。バランスをとる必要があった時に日本に接近してきたんです。