救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮はどう動くか-東京連続集会87 全報告



◆「一括帰国でないと被害者が安定を保てなくなる」


西岡力(救う会会長、東京基督教大学教授) もちろん、この最終決戦という意味はもう一つあります。蓮池薫さんが最近、横田さんたちにおっしゃったことですが、「向こうにいる人たちの精神状態が一番心配なんです。向こうにいる人たちは、物質的には一定の供給があってそれほど不自由じゃないかもしれないが、精神の安定を保つことが大変困難です。2002年に5人が帰って、その後自分たちは帰れない。『死んだ』と言われているらしいことを知っている本人たちが、去年から拉致問題についての調査が始まったという情報を知っている」と。
 これは昨年北朝鮮がテレビや新聞で報道しましたから、知っている可能性が高いです。「そして、今回もだめだったかと思ったら、精神の安定を保てなくなるのではないかと心配している」という趣旨のことを、向こうに抑留されていた立場の被害者が言っている。
 私たちは、家族が目の前にいますから、家族の年齢を気にしますが、一番苦しいのは向こうにいる人たちで、その中には家族が今表に出ていない人もいます。名前も分かっていない、まだ未認定の被害者もいるわけです。そういう人たちを含め、今回何人かでも積み残したらあと何年かかるか。5人帰って来てからもう13年経っています。今回積み残された人がいたら、あと10年、その人たちの精神状態がもつだろうか。
 全員の一括帰国ということは絶対に譲れないのです。「何人かでいい」ということは絶対言ってはならない。総理も、「拉致問題の解決なくして北朝鮮は未来を描くことはできない」と言っています。「拉致問題の進展なくして」とは言っていない。何人か帰ってくれば進展だと思いますが、しかし解決ではない。
 少なくとも「解決」と言うからには、日本政府の解決の第一条件、「認定の有無に関わらずすべての被害者が帰ってくること」は満たされなければならない。第二条件の真相究明、第三条件の実行犯の引き渡しについては、私は時差があってもいいと思います。
 しかし、第一条件の「認定の有無に関わらず全員の安全確保と帰国」については、それを条件にして譲歩してはならない。それは絶対に折り合えない固定されたものだと主張しなければならないと思っています。
 今年になってから安倍政権は、そこは守っているのではないかと、色々な情報を総合すると思われるので、深いところでは安心していますが、まだ勝負はついていないのでどうなるか分からない。
 なお、今日の二人の報告を聞くと、国際社会、特に北朝鮮以外の国で北朝鮮を援護するところはなかった。そして先ほどの天安門広場の主席壇にも、そこに国際的な独裁者や虐殺者、軍国主義者が並んでいたのもかかわらず、金正恩は呼ばれなかったという孤立状態はこちらにとって有利だと思ってます。
 まだまだ緊張状態が続くので、いよいよ疲れが激しいのではないかと心配はしていますが、まだ勝負がついていない以上、そして一番苦しいのは向こうにいる人たちだということを私たちが分かっている以上、あきらめたとか、もうだめだとは言えない。
 先ほど拓也さんもおっしゃいましたが、自国民を保護するというのは自国政府の第一のなすべきことだと思います。拉致問題は主権の侵害ですから、もちろん国際社会に訴えて包囲網を作るということも大切ですが、最終的には日本政府が日本政府の責任で、先頭に立って救出してもらいたいと強く思っていますし、安倍総理はそれをすると言っていますので、緊張した中、息を呑むつもりで様子を見守りたいというのが今のところの状況です。
 あとは家族会の方々に近況報告をしていただきます(拍手)。

  
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