ストックホルム合意から1年半‐被害者救出のために今必要なこと 東京連続集会88 全報告
◆被害者は殺されず、緊張関係が続いている
西岡 そこで分かったことは、彼らも困っていて、日本から取りたいものがある。だから交渉が始まった。しかし、取りたいものを取りながら、「死亡」ということで取れると思って始めた。しかし、「死亡」のままでは取れないかもしれないと思わせることが、半分くらい今できた。少なくとも、偽の遺骨を作ったと言ったら、それを受け取った日本では逆に反北朝鮮感情が高まるだろう。日本の技術で見破られてしまうかもしれない。
他のものについて関心を持たせようともしました。テレビ局が何回も遺族とともに墓参りに行ったりしましたし、残留日本人を映したりしましたが、もちろん人道問題を早く解結した方がいいのは当たり前ですが、しかし拉致被害者が死んだからもうあきらめようという世論は起きなかった。止めるぞと脅しはしましたが止められなかった。
止められない。殺すこともできなかった。しかし欲しいものがあるという中では、細い道ですが、拉致を最優先で絶対に全員を取り戻すとこちらが言い続けることによって、相手の中に何か変化を起こすことができ得るのではないか。
私はそういう風に見ているんですが、ストックホルム合意の後、運動として話をしている部分もありますが、そうすると、「西岡先生は過去に比べて政府に甘いです。安倍さんだからですか」と言われたりしました。
しかし、まず第1に、殺させなかった。絶対にそれをさせてはいけない。全員なんだと言い続けたことで、なんとか抑止力を発揮することができたのではないか。家族の前でそういうことを口に出すだけでも、申し訳ないことです。
早紀江さんに怒られました。「そんなことを言うと、それが北朝鮮のヒントになって、それで殺されてしまうのではないですか」と。でも、そういう情報がある以上、知ってるんだというしか我々に方法がなかったんです。でも、今の所なんとか緊張関係が続いているというのが過去に関する評価です。