ストックホルム合意から1年半‐被害者救出のために今必要なこと 東京連続集会88 全報告
◆外務省の交渉・情報は北朝鮮に「ちょろい」と分析された
中山 今の西岡先生のお話について少し補足します。北朝鮮は2002年の10月15日に5人を日本に一時帰国させた時に、飛行場に金ウンギョンさんが、当時私たちは金ヘギョンさんと呼んでいましたが、現れました。
私自身はあの時、北朝鮮の側に立って見れば、やはり横田めぐみさんが中心テーマだということを当時でも北朝鮮は分かっていた。従って、金ウンギョンさんというのは、あの時点から北朝鮮側にとって8人死亡で、めぐみさんが死亡したということをご家族が認めれば、それ以外の方々はおなじ条件ですから全員死亡ということと同意義になります。
その点で、金ウンギョンさんを使うということは、当初から北朝鮮側の作戦、一つのやり方として今も続いているだろうと考えています。
それから、今西岡先生がおっしゃったように、可能性があるということ、しかし動く時には今の外務省の外交交渉では無理ですね。北朝鮮側から出て来ている人々というのは、拉致問題に関して何の権限も与えられていない人たちです。
ところが日本があまりにも甘すぎて、このメンバーで制裁解除がとれたということですから、この形で動くのであれば、さっき申し上げましたのはもっとつじつまが合うような説明をすれば、日本は、あの当時使われた「ちょろい」という単語を北朝鮮は使っていましたが、日本はちょろいから説明を変えればさらなるものを取ることができる、と考えると思います。
それがちょっと前までの動きだっただろうと見ています。しかし、それで通用することはないということを日本側がもっと、もっと強く打ち出さないと、次の段階に入ってこない。総理が「未来はない」と言ったので少し進みましたが、日本側の交渉がその線で、安倍総理が思っているような形で行われているのか。
北朝鮮側から見たら、安倍総理は「未来はない」とおっしゃっているけれど、交渉している現場の世界ではもっと日本は甘いじゃないか。つじつま合わせでもう少し取れるかもしれないという動きがあったであろうと考えています。
ですから、それは絶対だめだということを、もっとはっきりと相手方に伝えて、この交渉は中断する、止める。そうすると北朝鮮の中で、外務省とやっているこの交渉では何も取れないことがはっきりと認識されれば、次の形で西岡先生がおっしゃったようなことが動き出すと私は考えています。だから今どうやってそれを相手に伝えるかが大きなテーマであろうと考えています。