ストックホルム合意から1年半‐被害者救出のために今必要なこと 東京連続集会88 全報告
◆裏の交渉をしていた局長と課長を二人とも代えたのは官邸主導か
西岡 なお、ストックホルム合意で1点だけ評価できるところがあります。それは第1分科会(拉致被害者)と第2分科会(行方不明者)が分けてあることです。拉致被害者と失踪者が一緒になっていると、適当なことを色々と言われたと思います。「800人調査するのだから時間がかかる」とか。
しかし、第1分科会は認定拉致被害者についてなので、2002年に出したでたらめな報告書の上塗りをしなければならない。しかし、あれはあまりにもでたらめなので、あれを整合性のあるものにすることはできないですね。そして情報もあるわけです。例えば市川さんは海水浴でおぼれたと言いますが、その日台風が来ていて泳げるような日じゃなかったので、過去にさかのぼって台風を変えることは彼らもできない。
そういう簡単ではないことについて彼らがやると言ってしまった。それはやはり、決定的な証拠を作ることが前提で8人については、殺して遺骨を作る技術がいるということが前提で第1と第2を分けたのではないかと思いますが、それができなかったことも含めて、当初やろうとしていたことが困難だと思わせることができれば先に進めるということです。
それから、中山先生がおっしゃった外務省の今までの交渉がだめなのではないかということについて、これはすべての交渉で何がなされているかは政府でないと分かりませんが、外から見ていて、今回の新しい人事で、裏の交渉をしていた局長と課長が二人とも代わりました。
裏の交渉は引き継ぎなんかできません。加藤大臣が来た時と同じような人事で、伊原局長と小野課長が両方代わりました。そして皆さんにお配りした、私が書いた「産経新聞」のコラムで引用しておきましたが、その時菅官房長官は今回の加藤大臣の人事についてインタビューに答えてこういうふうに言っています。「拉致問題は官邸直轄でやる。そこに外務省や警察庁など日本の総力を結集しないとだめだ」と、外務省と警察庁を並列に置いて、官邸が上に来る表現をしています。
そして、「加藤氏は問題に精通しており、今回の改造で安倍首相が動きやすい体制をつくった」と言っています。加藤氏が問題に精通しているので加藤氏が動きやすい体制をつくったとは言わなかった。そのことと、裏交渉を担当していた局長と課長が交代したことを考えると、本来なら今やっている裏交渉で本当に返すのかという交渉をストックホルム合意の前にやっていれば時間はずいぶん省略されたと思います。
安倍さんだから、もしかしたら返す約束が取れているとも思ったのですが、そうではなさそうなので、ストックホルム合意通りにはやらなかった。そしてストックホルム合意を作った二人を代えたというのが今の現状です。これは悪くない方向ではないかと思っていますがどうですか。