ストックホルム合意から1年半‐被害者救出のために今必要なこと 東京連続集会88 全報告
◆安保法制の改正でも、国家が拉致した被害者救出の同意は得られない
島田 自衛隊に関して、先の支援法の議論の時に、安倍首相が、「現行憲法下では、相手国の同意がなければ、自衛隊が北朝鮮に救出に入ることはできない」とおっしゃった。それに対して、次世代の党だけが、「そういう解釈はおかしい」ということを国会で追及されて、非常によかったと思います。今、西岡さんが言われたポイントも含めて、今後国会でどのようなことを追及していかれるか、お願いします。
中山 西岡先生がおっしゃった総連関係は、今調査中ということもあると思いますし、現行法でどこまでやれるのかということもあろうと思いますが、この点については、この後、救う会の皆様と一緒に、色々詰めて、足りないのであれば新しい動きをすることになろうと思います。
外から見ていても、何とも言えず腑に落ちない動きであるということは、皆様共通の思いだろうと思いますので、そこはしっかりやっていかないといけないと思っています。
もう一つ、安保法制の中で、自衛隊法の改正が今回出されました。これは何が改正されたかと言いますと、外国にいる人々が外国で何らかの混乱が起きた時、そういう緊急事態に際して、生命または身体に危害が加えられる恐れがある邦人の保護措置を、自衛隊の部隊が実施できるようにするというのが、今回の安保法制の一つに入っています。
ただ、この法案を読みますと、これまで自衛隊ができたことというのは、「安全が確保されている時に輸送することができる」というところまででした。それに加えて今回は、警護とか救出とかその他の当該法人の生命または身体の保護のための措置がとられる、となっています。輸送も含めてですが。
但し、実施要件というのが3つ付いていまして、「保護措置を行う場所において、当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、かつ戦争行為が行われることがないと認められること」。2つ目が、「自衛隊が当該保護措置を行うことについて、当該外国等の同意があること」。3つ目が、「当該外国の権限ある当局との間の連携及び協力が確保されると見込まれること」です。特に2番目の「当該外国等の同意があること」はずいぶん古い時代の法律です。
国際社会で枢要な動きがあったから今回安保法制の改正を行いますといいながら、ここには現状の国際社会の動きがほとんど取り込まれていない。なぜかというと、これでしたら当該外国とそれぞれのしっかりした国家が存在している。その国家が、その中で起きた人質事件や拉致事件はその国家が救出する場合だけが想定されています。
ところが、IS(イスラム国)にしても、イスラム原理主義の国にしても、彼ら自体が被害者が被害者を人質にとって殺害しようとする。北朝鮮も同じだと言っていいと思います。人質を連れてきて、生きるも死ぬも手に握っている。それがその地域を支配している。国家として認めていませんが、そこの支配者である。犯人が支配者である国等の同意があること。同意なんかするはずがない。それが条件で、自衛隊が警護や救出や身体保護のための措置をとることができるというのが今回の法律でした。
いくら何でも、これでは北朝鮮に救出に入ることすらできません。「もしあそこで混乱が起きた場合であっても、自衛隊は入れないではないですか」という質問を国会の中で何度も続けてきました。
それに対して政府側の回答は、「今の状態ではこれが精一杯で、いざという時はアメリカに頼む」でした。でも拉致被害者の救出は、日本人の被害者です。それはあまりにむなしく、残念なことだと思いますとずっと主張し続けているところです。