国際セミナー「日朝拉致協議をどう打開するか」報告
■金正恩の4年を検討する
金聖●(自由北朝鮮放送代表) ありがとうございます。4年前の12月だったと思いますが、呼んでいただいて、「金正恩は若いからミスをたくさんする」。まだ当時28歳だったと思います。「だから拉致問題を解決する好機が来た。めぐみさんたち拉致被害者を助けられる。みなさんがうまくやりさえすれば」という話をした記憶があります。
「金聖?は金正日と違って、独裁者になるための修業をほとんどしていない。だから国政の経験が何もない。だから絶対失敗をたくさんするはずだ。これをどう利用するのかが勝負ですよ」と申し上げました。
しかし4年経って、まだ権力は維持されています。私は拉致問題を初めとする北朝鮮の抱える根本的解決は政権崩壊しかないと思っていますので、金正恩がどういう男なのか、特に金正恩はこの4年間、より暴力的になり、より悪辣になりました。金正恩というのは一体どういう男なのか、今何をしているのかをこれから考えてみたいと思います。
◆金正恩はどんな男か
金正恩は1984年1月8日生れ、本貫(始祖の発祥地)は全州、金正日と在日朝鮮人である高英姫の間の2番目の息子です。
2000年代後半から金正日によって後継者として指名され、徐々に影響力が大きくなり、2011年金正日の死亡後、北朝鮮の最高統治者になりました。
金正恩は現在の朝鮮労働党第一書記および朝鮮民主主義共和国国防委員会第一委員長朝鮮人民軍最高司令官を兼任しています。
学歴はスイス留学、金日成軍事総合大学卒業とされていますが正常な教育を受けたことがありません。スイスでは学校に籍だけをおいて豪華生活ばかりを享受して遊んでいた。そして2001年帰国したと伝えられています。
今北朝鮮が、金正恩が金日成軍事総合大学で高等教育を受けたと宣伝していますが、それも他の学生たちと共に勉強したのではなく家庭教師の訪問教育を受けたということが確認されています。
したがって金正恩には先生はいても、学校に通って親しく交わった友達や同窓生、先輩と後輩が一人もいません。
もう少し具体的に明らかにすれば、金正恩は平壌に戻った後、金正日の指示により2002年4月から2006年12月まで、金日成軍事総合大学特設班で教育を受けました。
特設班教育というのは何人かの教授を極秘裏に召還して、中央党組織指導部の部員として登録した後、金正日の官邸に出入りさせて教える教育です。