国際セミナー「日朝拉致協議をどう打開するか」報告
◆意思がなければ、自由がなければ、本当の力は出ない
高忠義(元朝鮮総連活動家) 私はこの提言書を書いた後、何度も読み返しました。本当にここまで書いていいものか。感情に流されて書いたのではないか。少なくとも、建国の父と言われる金日成氏に対して、戦後日本で、在日同胞の希望の星として慕われ、民族教育に援助金を送ってくれた人に対して、ここまで言ってもいいのだろうか、と。
しかし、客観的に見た場合、この提言書の中身に絶対の自信を持っています。それはすべて事実だからです。ここで書けなかった、「金日成著作選集」のことで一つ補足しておきます。「自主性の原則」という言葉がありました。
赤ちゃんに父を呑む意思がなければ、どんなにいいおっぱいを持っていっても飲ませることはできません。そのように、人々は他人からやらされるのではなく、自分からやる気を持って仕事をしなければ、本当の力は出ません、とありました。その通りです。
さすが金日成首領様はいいことをおっしゃると、ここで考えることをやめてしまうのが問題です。金日成はそう言いながら、人々の能力を存分に発揮できない社会を作ってしまったのです。
職業選択の自由がなく、住まいの移動の自由もなく、その他もろもろの統制や監視の中で、どうして能力が発揮できるでしょうか。このような社会でベンチャー企業を起すことができますか。
そして彼らの言う革命のため、自国の利益になるためだったら、何をしても許されたのです。拉致問題が表面化しだした頃、私は、「この国ならやりかねない」と思っていました。
金日成はいいことも色々したかもしれませんが、基本的には自分の保身だけの人間だったのです。息子、孫も同じことをしています。