国際セミナー「日朝拉致協議をどう打開するか」報告
◆国際テロ組織支援阻止特別措置法の検討を
西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授) 私の提案は、拉致、テロ、核ミサイル開発、脱税など北朝鮮の不法行為を支える海外基地となっている朝鮮総連の活動を不法とする新法制定「仮称・国際テロ組織支援阻止特別措置法」を検討すべきだということです。
第1に、金正恩政権が拉致再調査に応じた理由の一つが総連保護でした。
昨年初め金正恩が「首領さまが作り、将軍様が育てた総連を自分の代で潰すわけにはいかない」、「拉致問題を含む日朝協議をせよ」と指示したことを複数の情報筋から聞いています。
昨年は、2006年から始まった厳格な法執行の結果、朝鮮総連中央本部が競売にかかり、彼らはそこを立ち退く直前までいきました。金正恩が強い危機感を持ったということです。宋日昊大使は昨年の4月、5月、局長級協議の度に、日本のマスコミの前で、拉致のことを議論するなら総連本部立ち退きをやめるべきだということを繰り返し言っていました。
また、中央本部問題が一段落した後、もう一度北朝鮮が日朝協議を止めると言ったのが今年の4月です。その時は、「政府間対話が出来なくなっている」と言ったのですが、その理由も、朝鮮総連議長、副議長の自宅を警察が家宅捜索したことでした。
私はよく分からなかったのです。なぜこんなに朝鮮総連にこだわるのか。金聖●さんに聞きました。そしたら彼はこう言いました。「今でも北朝鮮人民のほとんどが、現在も総連は敵地日本で60万同胞を団結させて共和国を支持していると思っている。それこそが主体思想が偉大である証明だと信じている。実態が知らされると北朝鮮の住民には大変なショックになる」ということでした。●=王へんに文
そういうものかな、と思いました。70年代、韓徳銖(ハン・ドクス)議長が平壌に行った時、金日成に対して、「総連中央本部は皇居を見下ろす丘の上に建っています。その屋上で、わが共和国の誇らしい旗が今日も翻っています」と言ったそうです。その中央本部を追い出すことができる直前までいっていたのです。それで北が動いた。