国際セミナー「日朝拉致協議をどう打開するか」報告
◆怒っていることを向うに強烈に伝えることが求められている
松原仁(元拉致問題担当大臣、拉致議連幹事長、衆議院議員) 今日は思っていることを率直にお話したいと思います。私は、日本の拉致問題に対する怒りが、北朝鮮に強く厳しく伝わっていないのではないかと思っています。安倍総理も含め、古屋圭司先生にも敬意を表しますが、ストックホルム合意ではいわゆる遺骨問題、日本人妻の問題が、拉致問題と同列、さらには先になるということで、あの時私たちは極めて不安に思ったわけです。
その後虎ノ門で集会をやった時に、平壌に外務省の伊原さん(局長)が行った。本当に結論が出るのだろうかと思ったのは事実です。結果として、それから1年近く経ったが何も結論が出ていない。
怒りを伝えるには色々な方法があると思います。もちろん伊原さんは仕事を頑張ったという評価もあるでしょう。しかし、結果を出すことはできなかった。彼は今ジュネーブに行った。
結局、北朝鮮側の立場だったらどうでしょうか。交渉に出てきて結果を出せなかったら、その人間が新しい場所に栄転するだろうか。下手をすれば最悪の事態もあるだろうし、少なくとも栄転ではなく降格になるだろうと思います。
つまり、平壌で会合し、その場でストックホルム合意を作り、2年間そのことを熱心にやってきた担当者が、残念ながら成果を得られない。そしてジュネーブに栄転していく。北朝鮮側から見たら、本当に日本は怒っているのか。怒っていないというメッセージになってしまうと私は思います。
今回の状況を脱するには、日本が怒っているということをどう伝えるかだと。もちろん我々は怒ってここに集まっている。しかし我々がどう怒りを伝えるか。中山恭子先生あたりが後でおっしゃるでしょう。ストックホルム合意の根本的な見直しは避けられない。
同時に、今日は財務省の方もおられるかもしれませんが、それぞれおはこ(十八番)というのがあります。牛肉の問題なら農水省と外務省、自動車は経済産業省と外務省、拉致問題は主体は警察が知見を持っているからやるんです。日本側が主体を変え、ストックホルム合意の破棄を含めて見直す。そこまで踏み込むならば、「怒ってるなあ」と。
我々はこれだけ怒っている。日比谷公会堂で怒っている。そういうことをすれば、私は北が真剣になると思います。
舞台を変えなければいけない。北の担当者は、成功しているという評価を最高指導者から受けているんじゃないでしょうか。そうじゃない。そして彼はそのことによって「担当者はだめだ」と。そこまで追い込んでいく。
つまり、我々は怒っているし、怒っている皆さんが集まっているけれど、怒っていることを向うに強烈に伝えるという作業が、私は今求められていると思っています。そこからスタートすると思っています。以上です。共に頑張りましょう
(拍手)。
西岡 次に、公明党拉致問題対策委員長の上田勇先生、お願いします。