国際セミナー「日朝拉致協議をどう打開するか」報告
◆国交正常化の前に拉致被害者を帰国させることを政府方針に
中山恭子(次世代の党代表、拉致議連副会長、元拉致問題担当大臣、参議院議員) 今日は非常に素直に、客観的な動きをお伝えしたいと思っています。昨年2014年と2015年、日本が行ってきたこと、北朝鮮に対してどういうことをやってきたか考えると、これは2002年の平壌宣言にのっとって、その流れで北朝鮮と国交正常化のための交渉を行ってきたと言っていいと思います(拍手)。
平壌宣言には、拉致被害者を救出するということは全く書かれていません。何と書かれているか。北朝鮮は戦時中の辛い状況の中でやったかもしれないけれど、その人たちについては一言もなく、今後そういうことをしませんとだけ書いてあります。その後もやっている可能性すらあります。
そして昨年のストックホルム合意では、先生方がおっしゃっていたように、拉致被害者が日本に帰国するということは一切考えられていないということです。これは合意を見ればはっきりそう書いてある。北朝鮮で日本人が見つかっても返しませんよと書いてある。それに対して合意をしてしまった、ということです。
この点で、日本が本気で被害者を救出しよう、帰国させようとは、この2、3年考えて行動していないことが明らかだということを、私たちはしっかりと認識しておく必要があります(拍手)。
救出しようと思って動いていた人たちがいることは本当に確かで、その方々に感謝、敬意を表していますが、政府として動いた時にそうなっていなかったことは、客観的な事実です。
今後、加藤大臣が任命され、官邸直轄で動くということですから、その中で政府が一体となってやることが、どの方向で一体となるのか。非常に私たちは加藤大臣に期待し、国交正常化の前に拉致被害者を必ず帰国させる。この考え方で政府一体となってもらわないといけない。それが今できていないということです。
この辺りを非常に頑張って、国交正常化の前に拉致被害者を帰国させることが政府の考えであることを、しっかりと政府の中で決めていただきたいと思います。
先ほどシンポジウムでお話がありましたが、たくさんの工作員が入っています。政治家の周りにもたくさんの工作員がいますし、拉致被害者のご家族の周りにも、帰国した被害者の周りにも、日本の中で北朝鮮の意を呈して動いている人たちがたくさんいます。そのことも是非、注意深くみていただきたい。
2002年から2004年にかけて、当時の安倍官房副長官と一緒に活動していましたが、北朝鮮が日本の三悪人と名指しをしたことがあります。安倍晋三、中山恭子、斎木昭隆アジア大洋州局次長です。もう斎木さんの名前は上がらないので、今三人目を挙げるとすると、本当に頑張っていらっしゃる横田早紀江さん。この三人が、書面の合意でせっかく人道支援がとれると思ったのに止まってしまった。
これを止めたのは誰か。安倍、中山恭、横田だということで、今そのあたりに焦点を絞って日本の三悪人としてPRをしようとしている可能性があります。そのくらい北朝鮮は真剣に動いています。日本側が被害者を救出することに対して、本当に真剣に、政府が一体となって国交正常化の前に帰国させる、これを政府方針としてはっきり打ち出さない限り、被害者はこのままずるずると北朝鮮に置かれてしまう。救出などできないということを、得あたしたちはしっかりと認識した上で、帰国に向けて活動する必要があると考えています。ありがとうございました(拍手)。