東京連続集会89 最終決戦は続いている 制裁強化と国際連携の圧力で全被害者を救出しよう
◆北朝鮮に制裁をしても一般市民を傷つけない
西岡力(総合司会、救う会会長、東京基督教大学教授)
次に安保理が決議した制裁の具体的な内容についてですが、私はこれが実行されればかなり北朝鮮にとってダメージになるのではないかと思っています。
そもそも北朝鮮の経済は大きく分けで二重構造、実は四重構造くらいになっているのですが、社会主義ですから本来は計画経済で、民間部門と政府部門がなく、一つしかないはずですが、実は計画経済の外に軍事経済と、党の秘密資金経済があります。
この2つはだいたい一緒のもので、合せて統治資金などと言うのですが、計画経済の外に外貨を持っていて、それで核・ミサイル開発をしたり、ぜいたく品を輸入しています。
それを管轄しているのが党の39号室ですが、そこの外貨源を断つことが北朝鮮にとって一番のダメージです。だから日本の制裁は効くと私は繰り返し言ってきました。
北朝鮮の貿易を見ると、毎年10億ドル以上の赤字です。普通は毎年赤字だと、大規模な借款をしない限り、アフリカのサハラ以南の国のように最貧国になって、首都に行っても電気が暗いはずなのに、核・ミサイル開発は続いている。ベンツが走っている。平壌には物がある。それも外国から輸入したものがある。
外国は現金を払わないと物を出しません。特に1970年代、北朝鮮は韓国と対話をした後、韓国より経済が遅れていることを察知して、大規模なプラント移入をしました。その代金を未だに払っていません。
日本の当時の通産省は貿易保険を適用して、保険金を出しました。つまり、日本政府は北朝鮮を破産国家扱いしています。ヨローッパに対してもそうです。だからその後、北朝鮮がベンツを買ったりする時は、現金を払わないと売らないんです。信用取引が成り立たない。
それなのにベンツがあれだけたくさんあるのはなぜか。二重経済になっているからです。統治資金を持っていた。実はその最大の収入源は日本からの送金だった。
1990年代初め、多額のお金が日本から行っていた。それは、第一次安倍政権の厳格な法執行の方針もあって。ほぼ止まっています。その39号室の統治資金、秘密資金が、海外の銀行の秘密口座にあります。
10年前くらいアメリカのCIAがスイスの銀行などを調べた数字によると、43億ドルあったそうです。それを涸渇させることができれば北朝鮮は困る。
一般庶民は今どうやって食べているかというと、計画経済ではなく、党経済でもなく、闇市で食べています。1990年代半ば以降、配給がほぼ止まり、一般庶民は自分の才覚で食べています。計画経済でもらう月給では、食べていけないので、出勤して、はんこだけ押して闇活動をするとか、出勤しないですむために賄賂を払うなどして商売をしています。
従って、党に対する収入をなくすことは一般市民を傷つけないのです。だから現金を断つことが大事です。
これまで日本から多額の金が行っていましたが、これは厳格な法執行でほぼ止めました。その後、韓国が太陽政策で、李明博政権の推計によると、金大中・盧武鉉の10年間に70億ドルくらいの金と物が行った。それ以外に民間から30億ドル。併せて100億ドルくらい行ったと言われています。これは今回かなり止まりました。