北朝鮮最新情勢と救出への展望?東京連続集会90全報告
◆組織指導部の老幹部が、金正恩をかつぎ形式的に金正恩独裁体制維持
西岡力(救う会会長、東京基督教大学教授) 金正日は、労働党の大会は一度もしなかったのです。金日成時代は何回かやっていました。そして今回やった。それについて、政府の解説などでは、「先軍政治から党中心の政治に戻った」という話がありますが、金正日の時代も軍が支配してきたわけではないんです。金正日が個人独裁をしたんです。党の独裁から個人独裁になっていた。
労働党の十大原則というのがあって、それを読むと、「首領と他の党の幹部とは違う。他の党の幹部はすべてのことについて決断をくだしてはならない。首領が下した結論を実行するのが党の幹部」と書いてあります。
それで金正日は、夜中までずっと決裁をしていたんです。彼は大変勤勉な人でした。彼のサインなしにはすべてのことが動かないことになっていた。労働党の会議の決定は関係ないんです。彼が決定をする、サインをする窓口になったのが組織指導部です。
組織指導部は幹部の人事権と労働党の十大原則に従って政治が行われたかどうかの検閲権と、一週間に一回、党生活を相互批判する党生活指導権、この三つの権限を持っていて、ものすごいパワーを持っていた。
しかし、地位は持たない。表には出ない。部長は金正日が兼ねていて、その下に数人の副部長がたくさんいる。第一副部長は政治局員よりも権力は上だけど、地位はすごく下だった。
ところが金正日が死んだ後、この第一副部長の地位がどんどん上に上がってきている。本来金正恩が、金正日のような個人独裁者になるのだったら、労働党大会をするのではなくて、自分の組織指導部を作らなければいけなかった。
金正日の組織指導部を解体して、自分の側近で組織指導部を作って、そこに人事権と検閲権と党生活指導権を集中して、すべての書類に自分がサインする。そして自分の言う通りに物事を動かす仕組みを作るべきだった。
それができないで、誰も幹部をクビにすることができない。軍の幹部だけは何人か粛清しましたが、党の組織指導部はそのままです。金正日を支えた組織指導部の老幹部が、今金正恩をかついで、形式的に金正恩独裁体制を作っている状況だと思います。