北朝鮮最新情勢と救出への展望?東京連続集会90全報告
◆戦略はあるのか
増元 西岡会長がさっきから言っているように、北朝鮮が核を放棄することはありませんし、核・ミサイルを解決するということは、金王朝が瓦解しなければできないことだと思っています。
瓦解の一つの方法として中国が金正男で傀儡政権を作って、改革開放路線にいけるかどうかです。北朝鮮も抵抗するでしょうが。核を放棄するよりも、拉致被害者を返す方が現政権にとって得だということを認識させるだけの政策を日本は考えられないんです。
私が聞いている限りは、政策も何もないと思います。ただ話し合いを続けていって、粘り強く説得をしていくという政策だけです。北朝鮮を追いつめて被害者を取り戻す政策はないと思います。西岡さんの方が政権に近いですから、知っておられるかもしれませんが。
先週拉致問題の特別委員会が開かれましたが、特別委員会を見ていますと、外務大臣に交渉の中身を聞くと、「外交の機微に関わるからお答えできせん」。とにかく答えないんです。何のために委員会をやっているのか分からないという状況が続いています。
一昨年、ストックホルム合意で、外務省が交渉したのは、2002年と2004年に北朝鮮が出してきた文書については、わが国は納得できないから納得できるだけの報告を出せということです。
ということは、先ほど西岡さんがおっしゃったように、「正確な死亡の報告書を出せ」というのと同じ交渉しかしていないんです。拉致被害者を帰国させるための政策、千載一遇のチャンスにそういう交渉ではなくて、正しい報告書を出せという交渉しかできない外務省のやり方ではだめだから別のスキームを考えてと言っています。
一向にストックホルム合意を放棄するでもなく、これは間違いだと言うでもなく、そのままずっと続けているわけです。何の政策も打てないというのが現状なんじゃないでしょうか。
西岡 韓国は金大中政権の時に、金正日に5億ドル現金を渡しました。しかし、関係は悪化しました。その後、盧武鉉政権になって開城公団を始めました。年間10億ドルが北に入ります。これも韓国政府の政策の範囲です。
もちろん核問題は日本の問題ですから、国交正常化交渉の時に、北朝鮮にODAで出すことは不可能ではないと思っていますが、日本が国際連携を強めるということの中には、日本にとって拉致問題がどのくらい重要な問題であるかということを、アメリカや韓国やEU、中国に分からせるということです。
それをした上で、日朝で条件の交渉をする。条件が詰まったら、それはアメリカなどとも相談をして、反対が出ないようにサポートしてもらう。金正恩政権の間にそれをするしかないと思います。
金正恩政権が先に倒れた場合、自衛隊の使用を含めて、どう助けるかということを水面下で検討しておかなければならない。その両にらみが今の戦略だと思います。
以上