北朝鮮最新情勢と救出戦略ー東京連続集会92全報告
◆ドルを送ってもらったらこんないい生活はない
西岡力(救う会会長)
今党の幹部は、地方の幹部も含めて、こう言っているそうです。
金正恩政権は長くない。そうしたら、中国式の改革開放になるか、ソ連が崩壊した時のようになるかになる。そうしたら労働党の幹部も何も特権がなくなって乞食になる。しかし、ソ連が崩壊した後も乞食にならなかった人たちがいる。それは崩壊した直後に油田を買った人間等で、大金持ちになっている。我々もドルを持っていなければならない。政権が崩壊したり、改革開放になった瞬間に、茂山の鉄鉱山を買う。レアメタルの鉱山を買う。そしたら大金持になる。まずはドルだ。
みんなそう言っているそうです。さっき聞いたんですが、市場で豆腐1丁買うのにも、北朝鮮のお金は通じません。しかし、ネギだけは北朝鮮の金で買えるそうです。ネギを扱う商売人が、我々はコネが、バックがないからネギだけはウォンで売ると言っているそうです。
(ウォンの札束が)あまりにも厚くなってしまって、みんな受け取らないそうです。人民元かドル。最近、脱北者が、先に脱北して家族を呼び寄せるためにお金を送ったけど、来たがらないそうです。
「韓国からドルを送ってもらったらこんないい生活はない、北朝鮮社会でやりたいことができる、ドルを送ってくれた方がいい、無理して危険な韓国に行きたくない」と。もちろん苦しい暮らしをしている人もいるんですが、そういうことも起きていて、社会全体が変質しつつある。
ある人は、「プールの表面に油が浮いている。その油が北朝鮮における社会主義だ。下は全部、もう資本主義になっている」と。そして社会主義をやっていると言って金正恩に忠誠心を示すが、忠誠心は強要されたもので、参加しないと殺される。監視システムと宣伝システムが稼働しているので、それに応じているふりをしている。しかし、それに合流していても配給はこないから、自分で飯を食べなければならない。
その中で外貨を持っている人間が楽をする。外貨を持ち、頭が良くて、保安機関にコネがある人間がトンジュになる。
この2年間でも事が大きく進んで、金正恩は、「お金こそすべて」という勢力に挑戦できない。金正日は2回挑戦しました。先ほど金聖●さんが言った、2002年7月の新経済措置です。闇の値段と国営企業の配給の値段が100倍くらい違ったから、給料を100倍にしたんです。そしたら物の値段がまた100倍に値上がりした。
その後、デノミをやりました。こんどは通貨の価値を100分の1にした。通常の国営市場の物価と農村市場の物価の差が100倍あるから、それを直そうとしたんですが、そしたらインフレになった。農村市場をつぶそうとしたら政権は倒れる。そうしたら思想統制ができないから、金正日は2回挑戦したが負けた。
金正恩は5年経って一度もやっていない。逆にアパート建設などでも、新興勢力であるトンジュの力を借りている。私が最近聞いたのは、新義州でもアパート建設をやっている。トンジュと中国の資本が入ってきている。保衛部が取り締まらないのは、保衛部の庁舎も新しくなったからです。建ててもらったのです。
そういうことだけ見ていると制裁は効いていないように見えますが、社会全体が変質してきている。唯一指導体制と叫びながらも、「金こそすべて」になっている。