最終決戦は続いている!制裁と国際連携で全員救出実現を!国民大集会 全報告
◆被害者の高齢化で北は取引材料がなくなる
荒木和博(特定失踪者問題調査会代表、拓殖大学教授)
今の北越さんの思いは、様々な形で、ここにおられるご家族、来られなかったご家族が共有されていることであると思います。
さて私がこの席に立ち政府をほめると、何か特別な意図があるのではないかと思われるでしょうから、いつも通りにお話をさせていただきます。
昨日(9月16日)自民党の拉致対と外交部会の合同会議があり、皆さん熱心にやっていただきました。その中で一つ気が付いたことがありました。金杉・外務省アジア大洋州局長が、説明の中で、「認定の有無に関わらず」という言葉がありました。
これは別に金杉さんが悪いということではないのですが、ふと気が付いたのは、「認定の有無に関わらず」というのは、最初の意図はどうだったか分かりませんが、現時点となってみれば、「認定の有無に関わらず何にもやらない」ことになっているんじゃないかしか思えないということです。
今日も来ていますが、調査会の常務理事の武藤さんは自動車会社に勤めていた方ですが、よく言っています。「民間企業で10年間物が何も売れなかった時に、『一生懸命やっています』というのは何の理屈にもならない」と。
この10年間、ただ一人の拉致認定もできていない。警察庁の幹部に話を聞けば、「一生懸命やっているけど、なかなか証拠が集まらない」と。こういうのは普通だったらクビになる。2年毎に変わっているわけですからそれでいいのかもしれませんが、責任を誰もとろうとはしていないということです。
この国の中では「防衛白書」がありますが、読んでいただくと、「拉致」という言葉は一言もでてきません。先ほど中山議員がおっしゃっていたように、拉致被害者の救出を日本独自でやるという意図がそこには全く見受けられないのです。
今日は、特定失踪者問題調査会の代表としてお話をしておりますが、もう一つ代表をしている予備役ブルーリボンの会が来月本を出します。これまでシンポジウムなどで色々議論をしてきたものの集大成なんですが、「なぜ自衛隊が拉致問題に関わってこなかったのか」、「関わるとすればどういうふうにできるのか」ということについて具体的にまとめたもので、『自衛隊幻想』という名前で本が出ることになっています。
なぜこの国は、安全保障の中に拉致問題が入ってこなかったのか、そしてどうしなければいけないかについてお考えをいただきたいと思います。
このところ度々申し上げているんですが、ご家族の高齢化、今日も横田滋さんがお見えになっておられませんが、ご家族の高齢化はこちらにとって困るだけではなく、北朝鮮にとっても明らかにマイナスになるはずです。取引材料がなくなっていいくわけですから。
ご家族や拉致被害者がみんな死んでしまったら、向こうは取引材料がなくなります。その時日本に残るのは恨みだけです。それが彼らにとって利益になるのか。もし利益を得たいということを考えるのであれば、今この中にも北朝鮮に話が通じる人が来ているでしょうから、是非とも伝えていただきたい。今のうちに返す方が身のためだ、と。そうしないとやがて爆弾を日本が落とすことになりますよ(拍手)。
憲法で、交戦権はないとか軍隊を持たないとか言いながら、イージス艦も戦闘機も戦車も持っている国なんですから。何をするか分からないということを、しっかりと伝えていただきたいと思います(拍手)。
最後にひとこと。ここにお出での皆さん、ずっと前からやってこられた方も多く、今日初めて来られた方も多いと思いますが、是非ともお願いです。14年前、あの時小学校に入るかどうかという子どもが今二十歳になっています。私が大学で教えている学生はみんなそれくらいの年齢です。
みんな拉致を知りません。私もずっとやってきましたから、みんな知っているような気持ちになっていたのですが、そんなことは全くない。育ってきて、まだ全然知らないという子どもがたくさんいますし、知っているつもりでも、我々でも忘れてしまっていることがたくさんあるので、是非とも今日、様々な聞かれた話をあちらこちらに伝えていただきたい。
それから自分ができること。これはそれぞれの場所で、地域のコミュニティでも結構ですし、あるいは議員さんは議会を通じて、マスコミの方は報道を通じて、また歌舞音曲なんでもいいと思います。私もこの間、初めて小説を書きましたが、ご自分のできることを何でもいいですから一つやっていただきたい。
オールジャパンで、みんな同じように、お互いに傷口をなめあって責任を取らなかったら、絶対前に進みません。進んでこなかったんですから。進めるためには、新しいことをしなければならない。大変僭越ではありますが、ご自分に今できることは何なのかと改めてお考えいただき、是非とも実行していただきたいとお願いして、私からのご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました(拍手)。