核・ミサイルと切り離して全被害者救出を先行させよ?特別集会全報告
櫻井よしこ みなさんこんにちは。今日はお休みですが、拉致問題が新たな段階に入ったわけですから、私たちの対策も新しい発想と、新しい具体的手段を使って解決しなければなりません。
「新たな段階」の意味は何なのか、北朝鮮の変化をどこを軸として捕えるべきなのか。私たちは拉致問題を抱えているということで、他の6か国協議の他のメンバー国とは全く違う立場にあります。
拉致被害者をまず救出しなければならない。そのことを念頭に置いて、新しい北朝鮮をめぐる情勢にどう対応するかということについて、今日は三人の専門家から具体的な提言を含めてお話いただきたいと思います。西岡さん、惠谷さん、島田さんの順に提案をお願いいたします。
◆2002年と似たような状況に
西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授)
みなさんこんにちは。日曜日のお休みの中、こんなにたくさんお集まりいただきありがとうございます。
お手元に「新たな段階に入った拉致問題」というペーパーをお配りしました。9月9日に今年2回目の核実験が行われ、専門家の意見はほぼ成功ということで一致しています。後程惠谷 治さんから、北朝鮮の核・ミサイル開発は想像以上に進んでいる、深刻な危機であるという話をしてもらいますが、そういう中で、特に拉致被害者救出運動の立場からすると、核問題で嵐が吹くだろうと、国際社会が核一辺倒になってしまうのではないか。下手をすると拉致の旗が飛ばされてどこかに行ってしまうのではないかと強い危機感を持ちました。
しかし、2002年に5人の被害者が帰って来た時も実は似たような状況だった。アメリカが9.11のテロの後、北朝鮮の核開発について深刻に認識して、強い軍事的な圧力をかけた。私は9月17日の直前に、金正日がアメリカの圧力をどれくらい深刻に考えているか、その度合いによっては拉致問題が動くかも知れないと思っていました。
そして9.11の頃一生懸命本を書いていました。8月くらいから核問題が大変なことになっている。パキスタンの技術が北に行っていることが分かった。このまま行ったら、国際社会はこの問題で核一辺倒になって、拉致の旗が飛ばされると思って今と同じ危機感を持って本を書いていたのです。
しかし本が間に合わずに9月17日になり、本は10月に出しました。そういう思い出があるんですが、今も似たような状況じゃないかと思っています。しかし、大きなことがなるためには嵐が来なくてはならない。膠着状態では被害者を取り戻せないというのも確かなことです。
この激動、嵐をどうやって利用して、まず被害者全員を安全に取り戻すことができるか。今日はそういうことを皆さんと一緒に考えたいと思います。