核・ミサイルと切り離して全被害者救出を先行させよ?特別集会全報告
◆真相究明と実行犯の引き渡しは後でもいい
西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授)
日本政府は拉致問題解決の定義は三つだと言っています。1全被害者の帰国、2真相究明、3実行犯の引き渡しです。2と3は後でもいい。時差があってもいい。しかし、1は絶対譲れない。そのことについては絶対我々は揺るがない。安倍政権も拉致最優先と言っています。
今回の国会の施政方針演説で、安倍総理は、今までは「拉致、核・ミサイルの包括的解決」という言葉を使っていましたが、今回は「核とミサイル、そして従来からの安倍政権の最優先課題である拉致問題の包括的解決」と言いました。「従来からの最優先課題」という言葉が入りました。
9月17日の我々の国民大集会では、安倍総理は挨拶の中に、「ストックホルム合意」という言葉は入っていませんでした。「被害者を助ける。その先頭に私は立つ」と言いました。
核問題が本当に深刻で、後で惠谷さんに話を聞きますが、我々にとっても深刻な状況になっていることは事実です。そういう中でも、だからこそ私は細い道だと言っていますが、この道しかない、と。
核問題も解決しなければならない。国際社会から、「核問題を解決するために、日本も協力しろ。裏切るのか。拉致で取引するのか」と言われるかもしれない。しかし、日本の制裁は世界より高いことをやっている。その分を拉致で使うんだと言えるはずです。
一方、世界から「裏切るのか」と言われた時、他のことで取引されては困る。また、何人かが帰ってくるということでもだめだ。金正日が2002年に「死んだ」と言って終わらせようとした8人を含む全員でなければならない。こちら側にも降りられない、あちら側にも降りられない細い道だけど、この細い道しか全員助ける道はない。厳しい状況ですが、希望はある、道は開けている、というのが新たな段階になった拉致問題の現状だと思っています。
櫻井 ありがとうございました。今西岡さんのお話を伺っていても、やはり日本が国として国民を、十代の女の子や少年たち、青年たちを他国の国家権力に拉致されて、30年も40年も救うことができないないという事実に、これは本当の国のありかただろうかとみんなが考えるわけです。
その間に北朝鮮は、恵谷さんから詳しい話が出ると思いますが、着々と金日成、金正日の時代から、この国際社会の中で韓国を圧倒し生き残っていく方法というものを考えて、核・ミサイルの実戦配備まで彼らはとうとうきてしまった。
ここで、ある意味ゲームチェンジというくらいの大きな変化が起きていて、だからこそ西岡さんも新たな局面に入ったと言っているわけです。その時に、日本を囲む国際状況は信じられないくらいに大きく変わっているわけです。
今アメリカの大統領選挙を見てもそのことを感じますし、隣国の中国を見てもそのことを感じますし、その中国が水面下で北朝鮮を支援し続けている。これは国際社会で明らかなことです。そしてこうしたことについて、国際社会もわが国も有効な手が打てないでいる。
こうした中で国としてどうやったらいいのかを考えなければいけないわけで、国家としてわが国が何を欠落させているのかについての根本的な認識をもとに、対策を考えていかなければ解決の狭い道を歩むのも非常に厳しいものが出てくるわけです。
恵谷さんには、北朝鮮の軍事力が及ぼす新たな変化について、非常に厳しいものがありますが、なるべく具体的にお話いただければと思います。