核・ミサイルと切り離して全被害者救出を先行させよ?特別集会全報告
◆議会が圧力をかけないと国務省も外務省も動かない
島田洋一(救う会副会長・福井県立大学教授)
アメリカは非常に多様な社会ですから、トランプ氏とヒラリー氏が同じ国の大統領を争っているとは思えないくらい荒れています。先ほどの外務省の問題もこの後議論になると思いますが、アメリカでいうと国務省と日本の外務省の関係。これは悪の枢軸というか、宥和の関係と言うべきじゃないかと思います。
これまで拉致に関しては、国務省が基本的に仕切ってきた面があると思います。スネドン氏のケースについても、スネドン氏がいなくなったのは中国ですから、そして中国が「崖から落ちで死んだのだろう」と言っているわけですから、国務省としては、「そんなことはない。もっときちんと調べろ」とか、中國との間でもめたくないから、国務省はスネドンさんのケースを追及してこなかった面が強いと思います。
だからこそ、議会が圧力をかけて動かさないといけないという判断で、古屋圭司元大臣などが何度もアメリカに足を運んで、向こうの議員を動かして決議案を作らせたという方向にいったわけです。
古屋さんが向こうの議員に説明する際に、「日本でも同じだった。外務省は当時拉致問題なんか全然取り上げたくなくて、『国交正常化の障害だ』という認識だった。それを議員連盟が中心になって方向を変えたんだ。アメリカも是非議会が先頭に立って動かしてほしい」と言っていました。
現に決議案が下院を通りましたから、また新たなケースが浮上してきていることも話しましたが、やはり議員がどれほど強く動き出すかです。
それから先ほども少し触れましたが、イランと北朝鮮のコネクションの件ですが、民主党はイランは反省して核を凍結して文明社会の一員としてやっていこうという姿勢なんですよ」と。オバマ大統領なんかは自分がやったイランとの合意が失敗だったと言われると困るので、今やかつてのクリストファー・ヒルみたいです。イランのやることは何でも弁護しています。
ヒラリーさんは、オバマ氏の合意は成功だったと言っているので、ヒラリー政権になると、イランと北朝鮮との関係は、怪しい話が出てきても握りつぶすんじゃないかという恐れがある。
その点だけに限れば、トランプ氏は「イラン合意は俺が大統領になったら破棄する」と言っていますが、ヒラリー政権になるでしょう。共和党議員は、全員がイランとの核合意は失敗だったという意見です。これも議会がどれだけ圧力をかけるかが、イラン・北朝鮮コネクションをいかにつぶしていけるかのポイントになると思います。日本の有志議員とアメリカの有志議員が連携する方向も、積極的に進めてほしいと思います。
櫻井 日本の外務省が主導するストックホルム合意について、一部の議員はこの道が正しいと言っていますが、これについて日本の拉致議連や自民党政府の考え方は今どう変わりつつありますか。