国際セミナー「激動する南北情勢の中で拉致問題を考える」全報告
◆北朝鮮は日本が制裁を強めれば強めるほど、反応しなくなる
西岡力(救う会会長、東京基督教大学教授)
日本と国際社会が、北朝鮮に対して、9月の核実験を契機とした制裁をしました。我々が一番注目していたのは、2月に我々が制裁した時は、すぐに北朝鮮が反応して、「特別調査委員会は解体した」と言いました。今回は朝鮮総連が記者会見して、「拉致問題に悪影響を与える」と言いました。しかし、北朝鮮本国からは何も反応がない。
北朝鮮は日本が制裁を強めれば強めるほど、反応がなくなる。去年、安倍政権が朝鮮総連の議長と副議長の自宅を家宅捜索した時は、北京ルートで公式に、「政府間対話ができなくなっている」と言いました。そしたら次の日、安倍総理は我々と家族会に会った時に、「拉致を解決しなければ北朝鮮に未来はない」と言いました。強いことを言うんだなと思って見ていました。
去年は政府間対話を切るぞと脅してきたんです。今年2月は、「特別調査委員会は解体した」と言いました。しかし、ストックホルム合意を切るとか、日本との対話を切るとは言わなかった。今回は何も言わない。
彼らの計算で、朴槿惠政権が倒れて、日本は必要ないとなったら、「安倍政権は相手にせず」、「政府間対話は切った」と言ってもいいんですが、言ってこない。まだ痛みを覚えているということです。
北朝鮮問題は核問題もありますから、日本にとっても絶対解決しなければならない問題ではありますが、我々は2段階で解決してほしいと言っています。まず第一に拉致だ、と。拉致が先で、人質を取り戻した後、安全保障の問題で自由に我々も色々なことができるようになりますが、人質がいると、我々がうあることも限られます。
核問題を解決するために日本が全力を尽くすためにも、人質をまず取り戻す必要がある。だからこそ、「拉致は最優先」と言っているわけです。